rena.kさんからの質問
Q.
再発の可能性がある病気との付き合い方、教えてください。

42歳のときに卵巣がんを患い、放射線治療、手術、抗がん治療を経て、いったんがんは消えたということで経過観察に入りました。それが2年前のこと。ですが卵巣がんは再発の可能性も高く、心のどこかで常に不安を抱えながら生きている状態です。子供は2人おり、下はまだ10歳。また私自身一人っ子なので、自分にもしものことがあったら年老いた両親がどれだけダメージを受けるかも心配です。……などなど、考え出すと不安に陥るのでできるだけ前向きな気持ちを持つようにしているのですが、病気を抱えながらの生き方について何かアドバイスをいただけませんでしょうか。また、もし再発したときはどうすれば……。ご主人の金子哲雄さんは自身の余命を知りながらいろいろ準備されていたとのことですが、準備をすれば少しでも不安は和らぐのでしょうか?

特別ゲスト 金子稚子さんの回答
A.
「乗り越える!」だけでなく「もし死んだら」ということも考えてみてもいいのではないかと思います。

患者家族を経験した立場として、お気持ちをお察しいたします……。

本来ならば、ご不安を丁寧に伺い、その上でお返ししたいのですが、ここでは、わかる範囲で回答させていただきますね。一つの提案としては、同じがんのサバイバーの方たちの発信している情報を調べられてはいかがでしょうか。その中には、「がんになって生き方が変わった」という方が多くいらっしゃいます。「病気に負けないためにも生きがいが必要」と仕事に復帰された方もいらっしゃれば、「もう我慢はしたくない」と離婚を選択された方も。きっと、rena.kさんが今後の生き方を考えるうえで、ヒントになるお話もいろいろあるのではないかと思います。

ただ、現在表に出ている情報というのは、どうしても「こうして乗り越えた」「前向きになるには」といったものが中心。ですが、私がお目にかかった末期がんの方のお話を伺っていると、「生きたい」という思いと「もうダメかも……」という思いの間を行ったり来たりされているというのが、自然なことなのかなと感じています。でも今の情報には、この思いに応える情報がほとんどないのが実情です。

私が夫の死を通して教えてもらったのは、”「もし死んだら……」という自分の死後のことを具体的に考えてみる”ということをしてもいいのではないだろうか、ということです。そしてこれが、ひいては死後の準備につながり、「自分がいなくなったら……」という時の不安を少しでも減らすことにつながるのではないか……、そんなふうに思うのです。

非常に厳しいことですが、自分がいなくなった世界を想像してみてはいかがでしょうか。そのとき、ご主人やお子さん方、親御さんに何をしておきたいと思うか、どう生きていってほしいと思うか……。

ビデオレターや手紙を残していく方も多くいらっしゃいます。同じ立場にあるがん患者さんであっても、「それはとても素敵なこと」と言う人がいる一方で、「残された者への負担になる」と考える人もいます。このように、その人たちの性格や関係性、環境によって、同じことでも受け止め方がまったく異なります。こうすればいい、という方法は何もありませんし、また、これをしたら間違い、ということもありません。大切なのは、rena.kさんが心のままにご自身で決められること。「もうダメかも……」の側に気持ちが行ったとき、自分の死後に気になることは何か……。私がおこなっている活動の一つには、その準備のお手伝いもあります。それは決して、葬儀や墓の手配ではありません。プライバシーもあるので具体的なことは申し上げられないのですが、私がお手伝いさせていただいた方の準備されたものには、主婦として母としての思いが溢れていることを、いつも感じます。

がん患者さんがよくおっしゃる「今を生きる」という言葉。その意味は、大切な人と死別した私にも、私の立場でよくわかります。これは、亡き夫が命をかけて私に残してくれたことの1つでもあります。rena.kさんの「生き方」は、必ずご家族に何かを残します。不安があっても、心が揺れても、それをそのまま受け取ってもらえる夫婦関係、親子関係をどうか大切になさってください。この関係は、お別れがきた後でもずっと続き、そして残された人を力強く支えてくれるものだと思います。

いかがですか?
金子稚子さんの回答、ぜひご参考になさってください。
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PROFILE
  • 金子稚子(かねこわかこ)1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に『金子哲雄の妻の生き方~夫を看取った500日』(小学館文庫)『死後のプロデュース』(PHP新書)『アクティブ・エンディング 大人の「終活」新作法』などがある。 この人の回答一覧を見る
  • 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『with』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る