朝食も旅の目的のひとつになる
お宿の朝ごはんといえば、大分別府にある「岡本屋旅館」の郷土色豊かな朝食も、ちょっとほかでは食べられない思い出に残るもの。温泉地ならではの“地獄蒸し”(前々回でご紹介しました)と呼ばれる蒸篭で蒸した新鮮な野菜に、地元で獲れた新鮮な魚を九州のちょっと甘い醤油と胡麻で和えた名物りゅうきゅう、平打ちのうどんのような麺をお出汁といただく“だんご汁”など、どれもヘルシーでお腹に優しい。いわゆる派手な“THE名物料理”ではなく、しみじみおいしい、その土地で日々リアルに食べられているご当地料理に出会うのに、朝食はいいチャンスなのかもしれません。
朝食を旅の目的の一つとして出かけることもあります。たとえば京都。モーニングがいただける老舗の喫茶店がたくさんあり、ホテル選びの段階から、お目当てのお店に行きやすいことを念頭に探したりもします。
「イノダコーヒ」もそんな老舗かつ人気店のひとつ。クラシックなインテリアの中、ピカピカに磨かれたシルバーのカトラリーを前にすると、期待に思わず背筋が伸びます。その名も“京の朝食”と名付けられたモーニングは白いプレートにスクランブルエッグやハム、サラダ、フルーツなどを盛り合わせたもの。それをサクサクのクロワッサンといただきます。香り高く淹れたコーヒーとともに、優雅なひとときを満喫するのが京都の朝の楽しみになっています。
「伊吹いりこセンター」というお店で、朝からラーメンをいただいたのは香川でのこと。その名前から、いりこの加工場かなと思っていたのが、まさかのラーメン屋さん。観音崎の漁港前にあるお店で、こちらでいただけるいりこスープのラーメンが、何ともさっぱりしていながら味わい深いのです。大人の胃袋的には朝からラーメンなんて、と東京では思うところですが、香り高いスープはスルスル飲み干してしまうほどで、朝食にぴったりのラーメンでした。
元々は朝の早い漁師さんたちのために作っていたラーメンが評判を呼び、わざわざ遠くから食べに来るお客さんで朝から行列のできる人気店になったそう。さぬきうどんにもちょっぴり飽きてきたなあ、などというわがままな旅人にじんわり沁み入る最高の一杯になりました。
こうした非日常の朝の景色を楽しみながらいただく朝食は、旅の思い出を一層、鮮やかに彩ってくれるもの。旅の醍醐味のひとつではないでしょうか。今回、刊行となる『添乗員ariko まだまだおいしい日本の旅』でも、忘れられないおいしい朝ごはんをご紹介しています。ぜひご一読していただけたら幸いです。
【蔦屋書店にて〈まだまだおいしい日本の旅〉ポップアップイベント開催!】
『添乗員ariko まだまだおいしい日本の旅』刊行を記念して、全国6ヵ所の蔦屋書店で、本の中でご紹介した品々を販売するPOP UPを開催します!
〇福岡・六本松 蔦屋書店 11月20日〜12月6日まで
〇愛知・名古屋みなと 蔦屋書店 11月25日〜1月14日まで
〇東京・代官山 蔦屋書店 11月29日〜12月13日まで
〇北海道・函館 蔦屋書店 11月29日〜1月13日まで
〇京都・京都 蔦屋書店 11月28日〜1月13日まで
〇千葉・柏の葉 蔦屋書店 12月27日〜2月12日まで
POP UPでは、arikoさんいちおしのトマトジュースや2回めにご紹介した地獄蒸しプリンなどが並びます。香川からは、100年続くお茶屋問屋〈西森園のさぬきマルベリーティー〉をご紹介! *書店によって製品は変わります。
【 2024年11月29日発売 】
ただいま予約受付中!
ariko著 『添乗員ariko まだまだおいしい日本の旅』
128ページ/1400円 講談社刊
「私、食で失敗しないので」というarikoさんによる〈おとなのおいしい旅〉エッセイ
「おいしい情報はこの人に聞いたら間違いない」と信頼度大の人気料理家arikoさんに、大人が行きたい“まだまだ日本のおいしい旅話”を教えてもらいました。一読すれば旅に出たくなること間違いなし。おいしいお店の探し方、喜ばれるおみやげの選び方から、足の疲れの取り方、熟睡のためにしていること、旅先でのミニマム美容など「大人旅のコツ」もご紹介。
ariko/ありこ
人気ファッション誌を担当するエディター、ライター。インスタグラム(@ariko418/フォロワー数22万人超)でのセンスあふれる料理の写真と食いしん坊の記録が話題を呼び、「おいしい情報なら間違いない」と信頼される存在に。レシピ本を多数刊行している料理家でもある。著書に『arikoの食卓』シリーズ(ワニブックス)、『arikoのごはん』『arikoのおいしいルーティン』(講談社)、『ありこんだて』(光文社)ほか。
文/ariko
前回記事「本場のさぬきうどん店に学ぶ。ariko流自宅アレンジレシピ【人気料理家arikoさんのおいしい大人旅③】」>>
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