「好きなことで、生きていく」だけが正解じゃない
筆者も、実はライターは一番なりたかった職業ではありません。俳優やお笑い芸人ほどではありませんが、“書き手”も「なりたくてなった」というイメージをもたれやすい職業かも知れません。
でも、やりたいことと、現実的にできること、さらに競争社会の中で自分が戦える場所を総合的に考えた結果、今の職業に落ち着いた、という感じで、正直生まれ変わったらあの職業をやってみたいなぁという仕事は他にあります。実際ライター仲間を見ても、たまたまなっただけ、強みを活かした結果たどり着いたなど、ドライな人も多い気がします。
「好きなことで、生きていく」というYouTubeのCMが流れたのはもう10年前のことですが、最近では特に、「好きを仕事にする」ということが是とされ、社会的な圧もある。なんなら好きを仕事にしないと! と半ば強迫観念のように感じてしまう人もいるかもしれません。
でも、みんながみんな好きを仕事にする必要ってないと思うんです。世には様々な仕事があって、好きじゃないことを仕事にする人が圧倒的多数。でもそのおかげで、世の中は成り立っているのです。仕事は生活のためと割り切って、頑張って稼いだお金で趣味に投資するのだって一つの正解です。
「好き」だからこそ「嫌いになる」リスクがある
好きを仕事にするのはリスクもあります。労働が絡むと、どうしたって責任も義務も生じる。そうすると、下手をすれば好きなものを嫌いになってしまう可能性だってあるのです。
筆者は以前、試食販売などで商品をPRする仕事をしていましたが、好きなお菓子の宣伝をするたび、ノルマの重圧や嫌なお客さんの記憶が結びついて、そのお菓子を食べられなくなり、仕事をするたびに嫌いなお菓子が増えていく……という悪循環に陥りました。例えば、大好きなブランドの店舗で働いたとして、ブラックな実態を見てしまうなど、知らなくていい事実を知ってしまって、ネガティブなイメージがついてしまうかも知れません。
好きなものは客としてたまに楽しむ、外から眺めるくらいが最もきれいな状態で好きを保てる、ということもあると思うのです。
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