世界で一番おいしい時間

 

私には3つ年上の兄がいる。福井県で生まれ、中学まで兄と共に生活してきた。
私が15歳で東京に出たというのもあり、普通の兄妹よりは過ごした月日が少ない。
とは言え喧嘩もしたし、殴りあいや、モノをぶつけたりと結構サバイバルな関係でもありました。今思えばきっと妹の私がかなり生意気だったのでしょう笑。どこでも下は上に甘えがあり、完全に無くすことはないと、カラダが敏感に感じているからこその本能…
かなり私、やんちゃでした。笑

そんな関係性も月日を重ね、互いにいろいろな経験を経ていくと、不思議と同じ血が流れているせいか、大人になり、居ることが、存在が、なおさら空気のように感じられる。

先日疲れきって帰って来た私に、ちらし寿司を作ってくれた。慣れない男の手で、小さく細かく切った野菜、マグロはちゃんと味を付けている。錦糸卵は自家製らしく、本当に気持ちがこもっていた。

喧嘩ばかりしていた子供の頃は、兄の料理を食べるなんて想像したこともなかった。けれど刻を超え、今。今だからなおさら嬉しいのかも知れない。

兄妹…をつなぐちらし寿司。

世界で一番美味しい時間でした。