誤解②「身体醜形症」の人は「見栄っ張り」?

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もうひとつよくある誤解は、顔をそんなにも気にするのはコンプレックスの裏返しの見栄っ張り、虚栄心からではないかというものです。

実際に私も、何人もの患者さんたちが「自分はこころまで醜いダメ人間だ」と嘆くのを聞いてきました。髪型がほんの少し乱れただけで整えずにいられなかったり、出かける前のメイクに数時間かかったり、メイク直しをしょっちゅうしてしまったり、何より、自分の顔を鏡で何度も見たりするために、周囲にはそう誤解されてしまうことが多いのです。

 

けれども、見栄っ張りだからという理由で片づくなら、誰も苦悩する必要はありません。

そもそも、虚栄心がまったくないという人だっていないはずですが、身体醜形症の人が抱く顔へのとらわれは、虚栄心とはまったくの別ものです。

ただ残念なことに、こうした誤解のせいで「人に顔を見られたくない」という気持ちがますます高まり、外出ができなくなって引きこもったり、家族や周囲との人間関係がうまくいかなくなったりすることがあります。

そうなると、「自分の見た目のせいですべてがうまくいかないんだ」と、さらに苦悩が深まり、とらわれが強くなってしまう。身体醜形症かもしれない人の多くが、こうした悪循環に苦しんでいます。

そして「見た目を治せばすべてが解決するはずだ」と考えて、美容外科に助けを求め、さらに症状を悪化させてしまう現実があります。