ベビーシッターは芸能のスキルを活かせる


──起業すると、書類回りや実務も全部自分でやらないといけなくて、大変ですよね。

伊藤:私は芸能の仕事以外で社会人経験者が無かったので、最初はメールの仕方も分からずにLINEみたいな感覚で絵文字つけちゃったりとかしていました。お疲れ様です(おんぷ)みたいな。

 

──いいと思います。逆になごみそうです(笑)。

伊藤:ウェブサイトも自分たちで作っています。まずはもう手作り感満載だけど自分たちでゼロから作り始めることも経験だよねって。パソコンも今まで使ったことが全くなかったので買うところからでした。人差し指でキーボードを押すような状態から、なんとか両手を使えるようにはなったんです。ベビーシッター体験会でも、副代表とチラシを二千枚くらい作ってポスティングしたり、本当に全部一からですね。

 

──芸能人の方のセカンドキャリアっていうのは共通の問題だと思いますが、周りの同世代の方も、人生設計で悩んだりしていましたか?

伊藤:手に職をつけたかったという話を周りにすると、共感していましたね。仕事の条件を付けなければいつまでもできるけど、でもいつ自分に需要がなくなるかわからないのが芸能の仕事。将来の不安もあるし、何かしらやれることはないかなってみんな探してました。

──エンターテイメントとベビーシッターの掛け合わせだと、芸能の仕事で身に着けたスキルを活かせそうですね。

伊藤:私自身最初は、ベビーシッターと芸能の仕事って全然かけ離れてるって思っていたんです。でも子どもたちに全力で読み聞かせしたりとか、全力でごっこ遊びをしていると、スキルが活かされるんです。芝居もしているし、覚えたりするのは得意な方なので、 子どもの好きなヒーローものの決めポーズとかセリフを覚えていって披露したりしたときにすごく喜んでくれて。芸能の仕事でも目の前の観客が喜んでくれるのがすごく嬉しかったりするんですが、ベビーシッターの仕事でも目の前で子どもという観客が喜んでくれるので、結構通ずるものがあるんじゃないかと思いました。絵本も単調に読み聞かせていたら、子どもたちって集中力が30分くらいが限界かなって私は思ってるんですけど、いろんな声のトーンを使ってすごく表情豊かにやると、1時間ぐらい集中して膝の上で聞いてくれたりするんです。
ピアノが弾けたり、バレリーナを10年やっていてダンスが得意だったりというシッターがいるので、子どもと一緒にやるとすごく喜ばれて、ダンスの振り付けを教えてくださいという依頼が来たりします。