【ChatGPTへの質問3】
もし夏目漱石が『吾輩は米である』というタイトルで小説を書いたらどんな書き出しになりますか?

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【ChatGPTからの回答】

吾輩は米である。名前はまだない。田んぼの中で水と太陽に恵まれて育ち、ある日、収穫されたのを覚えている。

吾輩は倉庫の中で仲間とともに、次の運命を待っている。人々は言う、「米は日本の命」と。それなのに、吾輩たちがどれだけ大切にされているかは分からない。時には、吾輩たちは粗末にされることもある。

ある日、吾輩は飯盒に盛られ、ある学者の前に出された。その学者は、箸を持って吾輩に向かって言った。「君たち米は、どれだけ我々に力を与えてくれるだろうか。ありがたいことだ。」その言葉を聞いて、吾輩はふと自分の存在意義を考えることになった。

吾輩は米である。人々に力を与え、生活を支える存在であることに誇りを感じるようになった。そして、吾輩は食されることで、自らの役割を全うすることを決意した。
 
 

【ChatGPTへの質問4】
回転寿司のレポートが枕草子に書かれていたら?

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【ChatGPTからの回答】

回転する寿司の店、興味深きものあり。店に入りて、座に着くやいなや、目の前に鮮やかなる皿が次々と運ばれてくる。まるで、魚の競演の如し。その皿に乗せられた種々雑多なる寿司、見ているだけで食欲をそそられる。

色鮮やかな魚の身や、いろいろな形をした巻物、また甘き玉子焼きなど、どれも手が伸びずにいられぬ。回転の速さもまた、その場の緊張感を煽る。遅れば、食べたくても食べられぬ運命にあることを悟り、心を痛める。

店の者、わびしいかな、寿司職人の技を愛でるひまもなく、ささやかなる醤油やわさび、一つ一つ丁寧に作り上げられたそれらを味わうことも難し。だが、喧騒の中にもまた、魅力あるものあり。

皿の数を重ね、会計に持ってゆく。その数を見て、客は恐ろしいかな、ひとりでどれだけ食べたかを思い知らされる。それでも、また足を運びたくなる不思議な店、回転寿司なり。
 


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AIの便利で効率的な面を享受するだけでなく、本書を企画した石黒さんは「かえって人とのつながりや、喜びや感動の共有こそが本来人間が求めていることなんだと思い起こす人が、世界じゅうで増えていくことにつながればいい」と本書で伝えます。たしかに、これらのChatGPTの回答を見ていると、“あり得ない”質問から生まれる文章に、固定観念をほぐすための想像力を掻き立てられる気がします。

そこで最後に筆者も、ChatGPTに「ライターの私に、プロレスラーのようなかっこいい異名を考えてください」とややこしいお願いをしてみました。再び光の速さで考えてくれたのがこちら。
「散文のパイルドライバー・金澤」
ChatGPTがなければ、まさか脳天杭打ちと自分を結びつけることはなかったでしょう。ChatGPTを使いこなしている人もまだの人も、本書をめくれば、思いがけない質問と回答、アイデアに出会うためのひらめきがもらえるはずです!
 

著者プロフィール
爺比亭茶斗(じいぴいてい・ちゃっと)

中の人。人? ……中の頭脳。

石黒謙吾(いしぐろ・けんご)さん
著述家・編集者・分類王。1961年金沢市生まれ。著書は、映画化されたベストセラー『盲導犬クイールの一生』、さまざまな図表を駆使し森羅万象を構造オチの笑いとしてチャート化する“分類王”の『図解でユカイ』ほか、幅広いジャンルで多数。プロデュース・編集した書籍も、シリーズ累計15万部超えの『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(神田桂一、菊池良)、『56歳で初めて父に、45歳で初めて母になりました』(中本裕己)、『腐ったテレビに誰がした?』(鎮目博道)など280冊以上。

芸術新技法開発集団オクタン
「GEN-ARTIST OCTTAN」(OCTTAN=Organized Creative Technology Team for ART NIPPON)。組織技術機構による芸術創作チーム。実寸3Dプリンター、UVインクジェットプリンター、レーザー彫刻機、AIドローイングジェネレータ、音声合成・歌声合成シンセサイザー、高輝度プロジェクターなど、生産技術開発の最前線で次々と生まれる新技術をアートへ転用するための、サイバネティクスビジュアルのテスト創作と技術紹介を行う。

 

『もしChatGPTが文豪や○○としてカップ焼きそばの作り方などを書いたら』
著者:爺比亭茶斗 光文社 1760円(税込)

「もし夏目漱石が『吾輩はキャバ嬢である』というタイトルで小説を書いたら…」「ジャングルクルーズの挨拶を枕草子の文体で書いたら…」などなど、現実ではあり得ない設定の質問からChatGPTが生み出した、201の秀作を一挙公開! 15万部のベストセラー『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』の石黒謙吾さんが企画・プロデュース・編集する話題作です。


構成/金澤英恵