友情は、はかない。だから手入れが必要

 

長年の研究からわかった幸せの条件、「よい人間関係」には、配偶者、家族、仕事仲間と様々な形での繋がりが当てはまりますが、大人として年齢を重ねるうち、ある意味最もハードルが高くなるのが「友人」関係ではないでしょうか。

 

私たちはライフステージの変化とともに、親密になったり、疎遠になったりして、いつの間にか「前は一緒にいて楽しかったのに、今はしっくりこない」と思ってしまうこと(思われることもしかり)があります。

本書でも例として挙げているのが、結婚・出産による変化。自分はまだ独身だけれど、友人たちは結婚して子どもが生まれ、気づけば友人たちは別世界にいるように感じて友情が薄れていく。さらに本研究では、仕事を引退後、友人関係を失った被験者は男女を問わずたくさんいた、としています。

それでも、幸せな人生を送るために「よい人間関係」が欠かせないのだとしたら、一体どうすればいいのでしょうか。本書は、「友人関係にはメンテナンスが必要だ」と説きます。
 


友情は最も放置されやすい人間関係の一つだ。本研究の被験者の人生においても、男女を問わず、放置したせいで友情が悪化していくケースを繰り返し見てきた。友情は自由意志によって育まれる。だからこそすばらしいし、だからこそはかない。はかないものだからといって、大して価値がないわけではない。すでに手にしている友人関係を維持したり、新しい友人をつくっていくには、意志を伴う行動が必要だ、という意味だ。



友情は最も放置されやすい。放置したせいで友情が悪化……。自分の胸に手を当てて思わず反省してしまう人もいるかもしれません。良好な友人関係を築くには、成り行きにまかせたり、自分をありのままに振る舞うのではなく、家族と同じように注意を向けることが必要だ、と本書は教えてくれます。