——「療育」という言葉、よく耳にしますが実はよく理解できていないという方も多いかと思います。改めてご説明いただいてもよろしいでしょうか?

療育(発達支援)とは、障がいを持つ子どもが社会的に自立して生活できるよう、それぞれの状態に応じた支援をおこなって発達を促すことです。娘が通い始めた療育施設は、日本自閉症協会会長もされて、自閉症や発達障害の人やその家族の支援に尽力した石井哲夫先生が創設された社会福祉法人でした。

こちらでは、子のありのままを受容し、心の奥底にある育ちの芽を見出して、ひととの信頼関係を築いていくための大切な種を心に植えてくださいました。自閉症の子にとって、分かりやすいアプローチで子に接する療育方針で、毎日の活動内容も平易。娘は、普段と違う場所や日課に適応するのが苦手で、ストレスになってしまいます。ですが、こちらの施設での活動は見通しがつきやすく、それまで私にあちこち連れ回されて不安でいっぱいだった娘の心は、次第に安定していきました。1クラス4人で先生は3人。手厚く熱心な先生ばかりでした。

 

——幼い子の療育では、親への支援も大切だそうですね。

そうなんです。親が子の様子を的確に把握し、家庭でも可能な範囲でではありますが、同じような接し方をしていかないと、子は混乱します。幼児期の療育は親子がセットで受けることが大切なんです。

とはいえ、将来のことを考えれば、子のために家計も維持したいですし、バランスに悩む親は多いです。私は運良く、続けて次女を授かったことで、育児休業を続けて長く取ることができ、長女のゆっくりした育ちに合わせることができました。娘の場合、無理をさせ続けていたら、自傷行為が悪化して、同居できなくなっていたかもしれません。

診断が出るのも多くはこの時期。親にとってはつらい現実に直面し、受容に苦しむ時期でもあります。そういった点でも、親の状態を見ながら、寄り添って正しい理解と方向に導いてくださる療育の先生たちの存在は非常に大きいものでした。

マクセル アクアパーク品川にパパが初めて連れて行ってくれた日。それ以来、娘の一番のお気に入りの場所になりました。今でも毎月のように通っています。