数値化できないお笑い、だからこそ魅力的


この本での東大の研究者によるお笑い分析は、むしろこの「お笑い=生もの」という説を強化しているように思います。例えば、面白いつかみがあれば本ネタが面白くなるという説を研究するため、芸人に面白いつかみと面白くないつかみを実演してもらうのですが、面白くないつかみをやると、逆にそれがお客さんにはハマってウケてしまった、なんてことも。また、M-1グランプリの王者を劇場チケットの販売数から予測しようとするけれど、予測はなかなか当たりません。

写真:Shutterstock

科学的には分析できない予測不可能なものだからこそ、お笑いは魅力的なのだと思います。芸人さんの言うように、頭のいい人が完璧を追求したところで面白くなるものではない。むしろちょっと外しにいったほうがみんなが笑うこともあるし、余白があって観客と作り上げる笑いこそ盛り上がる。動画では伝わらない漫才師同士の間をうねるように流れる見えないエネルギーの高まりこそが、お笑いの正体であり本質かもしれない……。

AIが普及して、例えばスポーツの世界でも、採点に導入されるようになりました。でも、お笑いって、AIが一番入り込めない領域のような気もするんです。審査員はいるけれど、面白いかどうかの基準を完璧に項目に落とし込むことはできないし、その場の空気感によって、この前ウケたネタもウケなくなるなんてこともザラにある。そう考えると、お笑いほど数値化しづらいものってないのかもしれません。そんな化学では捉えきれない、理屈で説明できない奥深さこそが、お笑いの魅力なのだと思います。


 
 

『最強の漫才 東大と吉本が本気で「お笑いの謎」に迫ってみた!!』
(講談社)

理論派の芸人たちが語る「漫才の秘密」。
研究のプロたちが解き明かそうとする「漫才の構造」。
漫才は技術か? アートなのか?
お笑いファンから芸人志望者まで必読の、新しい「漫才論」。
この1冊で、「M-1グランプリ」応援がますます楽しくなる!!

【本書の主な内容】
◆「ベタは最強 アホは才能」――笑いの秘密を語ろう(NON STYLE 石田明)
◆芸人のSNSアカウント相関図から「売れる芸人の戦略」がわかる?(東大大学院 坂田一郎)
◆ど真ん中よりちょっと外がいい? 芸人が知らない「本当の位置と売れ方」(ゆにばーす)

◆「究極の内輪人間」だから僕は勝てた(マヂカルラブリー 野田クリスタル)
◆面白い「つかみ」で漫才の「本ネタ」はどこまで影響される?(東大大学院 植田一博)
◆漫才の「つかみ」は挨拶に似ている?(トータルテンボス)

◆「屁とお経とパンタグラフ」見えた! お笑いの原点(笑い飯 哲夫)
◆M-1の勝者をファンのビッグデータで予測できるか?(東大大学院 浅谷公威)
◆科学ではとらえきれない「魔物」がM-1には存在するのか?(オズワルド)

◆特別企画 2023年のM-1勝者をちょっと強引に予測してみた

吉本興業東京本部にある社員食堂で最も人気の高いメニュー「よしもとカレー」と、新潟県の米菓メーカー、(株)栗山米菓のコラボレーション「ばかうけ よしもとカレー風味」が、全国のスーパーやドラッグストアなどで発売!

「よしもとカレー」は、2021年11月にレトルト食品として商品化し、販売がスタートしました。また、吉本興業が取り組む地域創生の一環として、全国各地の魅力ある食材とコラボした「地域版よしもとカレー」も発売されています。今回の「ばかうけ よしもとカレー風味」はお菓子との初めてのコラボ商品です。「ばかうけ よしもとカレー風味」は、よしもとカレーの特長である野菜の甘みを感じてもらうため、生地にオニオンパウダーを練り込み、お子様からご年配の方まで召し上がれるよう、実際より少し辛みが抑えられています。

 

 

文・構成/ヒオカ