ウエディングドレスの「その先」が大事

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——本の中でも、恋愛結婚とお見合い結婚の10年後を比較した研究、すなわち「お互いの評価が100%に達しないまま結婚した見合い結婚のほうが、いわゆる恋愛結婚より、10年後の幸福度が高い」との研究結果について、書かれています。


最初から「満月(15番目の月/満足度100%)の状態でゴールインした恋愛結婚のカップルは、結婚生活という現実に直面した途端、「こんなはずじゃなかった」と、まるで満月が欠けていくように、100%から減点法で相手を見るようになる。ですが見合い結婚の場合、最初の段階では互いへの評価が少し低いため、結婚後に「満月に近づこう」と共に努力する傾向が強く、結果として数年後には、そちらの満足度のほうが高くなる、といった考えです。

                       ——『恋愛結婚の終焉』より

 


結婚相手にはパーフェクトを求めやすいんだけど、長期的に見据えてみると、初めからパーフェクトであることが必ずしもその後の幸せには繋がらない、ということですよね。

牛窪:大ヒットしたドラマ「逃げ恥」(TBS系『逃げるは恥だが役に立つ』)では、主人公のみくりと津崎が契約結婚をします。あのスタイルは、本書で私が提案する「共創結婚」にかなり近いんです。彼らは、最初こそ偽装の意味合いで入籍しますが、それでも生活を共にすることで、何となく情が移って、ハグしたいなとか、手に握りたいなという感情が芽生えていく。そんななかで、「ハグの日を作ろう」とか、「セックスまでは求めないようにしよう」とか、共に話し合ってアップデートしていくわけです。

バブル期のトレンディドラマの主人公は、そのほとんどが“ウエディングドレス”で最終回を迎えました。でも、今の若い人たちは「その先の生活が大事」なことをちゃんとわかっている。だから「その先の生活」を見据えて、恋愛よりは生活目線で、相手を見定めなければいけないと気づく若者が増えてきたんです。

 


「結婚はこうであるべき」にとどまるのをやめよう

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——牛窪さんの本で共創結婚の概念を読んでいても、相手に求めるより互いに補い合うことや、求めているのは執着ではなくて愛着なんだとか、すごく納得させることさせられる部分が多くて。「相手の恋愛力ばかりを見るな」というと、妥協しろってこと? と反射的に思ってしまいそうですが、妥協ではなく、「不完全な状態を共にアップデートしよう」ということですよね。セクシーさであったり、恋愛慣れしているかどうかより、長期的な面で安心できるパートナーシップを築けるか、信頼やコミットメントを感じられるか、そちらのほうが大事ではないか、と。

牛窪:実は、本を読んでいただいた方からの感想として一番多いのが、「自分はもう結婚しなくていいやと思っていたけれど、こういう結婚ができる相手とならしてみたい」といったお声です。特に、40代以上のバツイチの女性やずっとおひとりさまで過ごしてきた方が、「結婚って、意外に悪くないかも」と感じるようです。

そう考えると、今までのステレオタイプな結婚観というものが、既に何年も前から歪みを抱えていたのだろうと想像できます。結婚に関しても、時代のニーズに合わせて多様化していかないといけない。それはみんなわかっているのだから、「結婚はこうでなければいけない」にとどまるのはおかしいと思うのです。