結婚の多様性を認めないと、そっぽを向かれる

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——結婚相手やパートナーは、恋愛対象の性じゃないと駄目なのか? とも思います。ロマンティック・ラブ・イデオロギー(恋愛・結婚・出産を三位一体とする考え方)にハマれない人は結婚できない、みたいなのはもう終わりにして、子どもは欲しくないとか、性愛は無理とか、そういう人もしたければ結婚できる、それが普通になって欲しいなと本当に思います。

牛窪:いろいろな形があっていいし、男らしさ・女らしさの性別役割分業にこだわる必要はない、ということですよね。子どもを作る上では、確かに「男性と女性」でないと難しいですが、養子縁組も視野に入れるなど、相手と話し合って選択肢を増やすことができるかもしれない。

結局、今政府がやっていることは、例えるなら「麦芽比率やアルコール度数が何%以上じゃないとビールとは認めない」ということなんです。ノンアル、微アル、低アルはビールではないと言ってしまえば、政府が定義するビールを飲めない・飲まない人たちは、「じゃあビールなんていらない。他にいくらでも美味しい飲み物はあるから」となってしまう。

国として、未婚より少子化を食い止めたいという大きな幹がありますから、「子を産む(作る)前提で入籍してくれないと困る」という思いもわからないことはないんですけど。別に、社会の根幹を揺るがそうとか、従来の家族観を否定するわけではありません。でもいまこそ結婚の多様性を認めないと、若者たちが結婚自体に見向きもしなくなる、将来孤立してしまうかもしれない、という恐れがあるわけですよね。

 

セックス自体も結婚の阻害要因?

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——若い方に限らず、恋愛に嫌気がさしたり、疲れたり。性愛がどうしても苦手で、阿佐ヶ谷姉妹のような、同居あるいは近所に住むパートナーが欲しいという声をよく耳にするようになりました。人生は「惚れた腫れたしてなんぼだ」みたいな価値観は薄まっていると感じます。でも根本的には、やっぱり誰かといたい、寂しいっていう思いがある。だから恋愛結婚から脱却し、共創結婚に移行するというのは、すごく今の時代にフィットしている気がするんです。

牛窪:同性同士で友情結婚を求める人も少なくないですし、男女でも子作り以外の性行為が面倒だから、ふだんはセックス抜きで一緒にいられる相手がいいというカップルもいます。実際、結婚後の夫婦でもセックスレスが6割以上で、これからも増えてくると思うんですよね。

それに、セックス自体も結婚の阻害要因になっていると感じます。国の第三者機関の調査によると、20~39歳の未婚女性でおよそ4人に1人、同男性では約4割が、一度も誰とも交際したことがない状態です。それでいきなり「自力で恋愛やセックスして、結婚にまでたどり着いてください」と言われても、かなり無理がある気がしませんか?