防災のトレンドは「レジリエンス(回復)力」です 写真:Shutterstock

2024年元旦に発生した能登半島地震から約3カ月が経ちました。日本は、世界で4番目に地震が多い地震大国であり、近年では豪雨や台風などの自然災害も増えています。

日本に住んでいる限り、もはや「防災」は必須の知識。

私たちはこれまでも、さまざまな防災準備をしてきました。しかし、そもそも私たちの「防災の知識」とは、いつのものでしょうか?

「防災」にもトレンドがあり、時代とともにその考え方は変化しています。そこで防災のプロに、「防災トレンド最前線」を伺いました。

旭化成ホームズ くらしノベーション研究所
一級建築士 山田 恭司さん
専門テーマは共働き、リフォーム、防犯、防災

 


気のせいじゃない!自然災害は確実に増えている衝撃の事実


「近年、大きな地震、増えたよね?」
「昔はこんなに豪雨が多くなかったはず」

ここ最近の自然災害について、そう感じている方、それは気のせいではないようです。

「震度5弱以上の地震回数を10年ごとに合計すると、1980年代と2010年代で9倍以上に増えているんです」

そう教えてくれたのは、旭化成ホームズ くらしノベーション研究所の山田恭司さん。

気のせいではなく、数字の上でも地震発生回数は増えています(提供:くらしノベーション研究所)

このグラフを見ると、震度5弱以上の地震の回数は、1980年代は20回でしたが、2010年代は184回と大幅に増えていることが見て取れます。

感覚的にわかっていたとはいえ、数字になると予想以上のインパクトがあります。


気象庁の震度データベースでは、誰でも簡単に自分の住んでいる土地であった過去の地震を調べられるとのこと。

さっそく、気になる場所をあれこれ調べてみましました。

mi-mollet編集部のある東京都文京区で調べたところ、この10年間で震度1以上を観測したのは380回以上(2024年3月11日現在)。……かなり多くてびっくり。

集中豪雨の増加も、データにしっかり現れています。

「80mm/時以上の集中豪雨の発生回数は、1976年〜1985年の10年間が13.9回。それが2013年〜2022年の10年間は25.2回と、ほぼ倍増しています」(山田さん)

「バケツをひっくり返したような雨」といわれるのが1時間降水量30-50mmくらい。気象庁の表現を借りると、80mm以上は「息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感じる」雨だそうです。

地震も、水害や台風被害も確実に増加しており、災害は「めったに起こらない」から「頻繁に起こる」ものにマインドチェンジが必要といえそうです。

 
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