「災害レジリエンス」に必要な3つの視点


「そこで重要になってくるのが、甚大化する災害に対しての”災害レジリエンス”です」と山田さん。

レジリエンスとは「回復する力」のこと。

要は、被災した後に、いかに日常生活に早く戻れるか。
近年の災害のニュースを見ていると、何もない日常がいかに大切かを痛感します。

ちなみに、ビジネスの場面でも、「困難やストレスにうまく対処し、回復する力」として「レジリエンス力」が最近注目されているんだとか。

時代が、「レジリエンス」を求めているということでしょうか。

山田さんによると、「災害レジリエンス」に必要なのは、「防災」「減災」「復旧」の3つの視点だといいます。

災害レジリエンスの3つの視点(提供:くらしノベーション研究所)

「防災」は、まず対策ではなく、災害の想定から始めることが大切だそう。例えば、

・建物の倒壊(1981年より前の建物は倒壊の可能性があるなど)
・地盤が崩れる、液状化で沈む(道路が波打つ、家が傾くなど)
・エコノミークラス症候群、感染症(避難所生活で起こりうることなど)

など、能登半島地震から想定されるはこんな感じ。「リスクを知って、それを防ぐことが防災です。

 

これから家を建てるなら土地選びからできますが、そうではない人がほとんどでしょう。その場合、今できることは、その土地・建物・部屋のリスクを知ることです」(山田さん)

地震時に予想されるリスク(提供:くらしノベーション研究所)

地震時に想定されるリスクは、

① 土地……地盤の崩れや液状化など
② 家……建物倒壊
③ 部屋……家具の転倒

これらの可能性がどれだけあるか、みなさん把握していますか?

筆者自身に当てはめてみると、以前、ハザードマップで確認した近隣情報は、もはや記憶がおぼろげ。自宅の倒壊の可能性って、どうやって調べればよいかしら? 家具はなるべく作り付けにしたけれど、そうではないものがどれだけあるか……。かなり心もとない……。

東日本大震災のあと、防災についていろいろ知識を溜めたり、考えたりしたつもりでしたが、時間が経ったら忘れているし、当時「災害レジリエンス」の観点で調べたわけではないので、情報に抜けがたくさんありました。

できていないなら、情報と環境をアップデートするのみ!

まず対策を立てる前に、自分に起こり得る災害を正しく把握しておくことが、いざというときに被害を最小限に抑える近道といえそうです。


構成/佐野倫子

 
 
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