ふいに背筋を抜けて恋の予感が甘く走る。街を歩いていて、ふとそんな瞬間が訪れたことはありませんか? 私はあります。それが、本当の恋ならば良いのかもしれませんが(笑)、今回はいているデニムとの出合いがそれでした。独特の構築的なシルエット、 (ワイドデニムと言うより袴デニムと言った方がピンとくるくらいの)ボリューム感、174cmの私をして余りある丈感……

「あ、好きです」とすぐに告白しそうになる衝動をおさえても、軽くめまいを誘ってくるほどに。

今回は、熟慮の末のお買い物のお話。

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かなりボリュームのあるアールトのブラックデニム。このシルエットを楽しむために、ショート丈トレンチを。全身バランスのお手本は、そう、短ランとボンタン……紡木たく先生の描くキャラクターに思いを馳せながら(笑)。
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暖かな日だったのでトップスはシルクのシャツをサラリと。これから寒くなってきたら、薄手のニットをINしたり、ショート丈のローゲージのニットを合わせたいなと思っています。ボリューム&ボリュームも可愛いだろうな!


こちらのデニムと出合った時は、閃光がビビビッとカラダを駆け抜けました。すぐにお店の方をつかまえインタビュー。フィンランド発のブランドであること。フィンランド語で「波」を意味するブランド名であること。そのデザイナーさんはルイ・ヴィトンのメンズチームのデザイナーであること(当時)……などなど。

でも、私は踏みとどまった。

確実に恋に落ちたはずなのに。というのも、その時、私はパンパンにつまった自分のクローゼットに辟易していたのです。店員さんの「定番の型である」という一言に安堵し、「縁があるならまたどこかで再会できるでしょう」と後ろ髪を思い切り引かれながらも、私はそのお店を後に。その時は、「きっと私はこのデニムを忘れられる」と思ったのです。

  • アールトのデニムとの出会いは『スローモーション』by大森葉子_img4 折り紙のような独特なデザイン。センターに入ったステッチがたまりません。切りっぱなしのラフな裾もお気に入り。
  • アールトのデニムとの出会いは『スローモーション』by大森葉子_img5 横顔もナイスなシルエットですね。ヒールがある靴を履いた日は地面ギリッギリの丈に折り返してはいています。
  • アールトのデニムとの出会いは『スローモーション』by大森葉子_img6 思っているより後ろ姿はシンプルです。はき込んでいき色落ちが進んだ状態になるのも今から楽しみです。


でも、どうにも頭から離れない。

他のどの服を見てもまったく魅力的に見えてこない。目に入るすべての服が「あってもいいけれど、なくてもいい」、それくらいにしか自分に訴えかけてこない。でも、でも、きっときっといつか私は忘れることができるはず……
出合った瞬間、時が止まったようにも感じ、すべてがスローモーションに感じたアノ日から1年。そのほとばしる思いが先走りしないように、「あの子は私に本当に必要なのか」を自問し、思いをためて、ためて。

そして、私は遂にアールトのブラックデニムを手にしたのです。

少々大袈裟なストーリーになってしまいましたが、時にはそんなペースで確実なる関係のスタートを切りたいアイテムがあるというわけで。瞬発力がものを言う買い物もいいけれど、こんな買い物はもっといい。やっぱり買い物は恋愛に似ている……というお話でした(笑)。


 余談ですが…… 
購入後、このブランド名『アールト』は、北欧モダニズムの巨匠、アルヴァ・アールトにも由来していることが判明。なるほど、このデニムの構築的なフォルムから発せられるムードが、建築萌えするところがある私のツボを突いてきたわけですな、と一人深く納得したのでした。

最近見た建築物のことなど

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現在開催中の安藤忠雄展より。(いつか本物を見てみたいと思っていた)光の教会が原寸大で同様のコンクリート造りで再現されてしまったという驚愕の野外インスタレーション。時間の経過を感じられる夕方に訪れたので、光や影の移ろいがとても楽しめました。今度は午前中の光で見たい!
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先日遊びに行ったソウル滞在中、ザハ・ハディドが設計したDDP(東大門デザインプラザ)へ。やはりその圧倒的な流線形は息を飲むものがあります。そして、ザハによる国立競技場を観ることは叶わなかったのだな、と(その過程のいざこざの是非とは別に)感慨深くなってみたり……。

CREDIT :
コート/マルニ この日と同じ
シャツ/ヴィンテージ この日と同じ
デニム/アールト
バッグ/J.W.アンダーソン×ユニクロ この日と同じ
靴/コンバース この日と同じ

 EVENT NEWS!! 

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■日時:2017年11月12日(日)
14時30分開演(14時15分開場) 16時15分終了予定
■場所:シチズン フラッグシップストア東京(東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 1階)

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大森葉子

主にビューティ担当。「今日は夏休み?」と聞かれてしまうほどの“ど”カジュアルと「今日は何かあるの?」と聞かれてしまうほどのデザイン性のある服が好き。ほぼ“一目惚れ”買い派。

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