米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。
パリにあるナイトショーの最高峰、クレイジー・ホース。その舞台で80日間だけ上演されたクリスチャン・ルブタン演出のショーを映像化した『ファイア by ルブタン』。3Dで観たこのショー、とにかく最高でした!
女の人には絶対に観てほしい! と強くおすすめしたい映画です。ダンサーさんたちの体のボリュームが日本人とは全然違っているから、まずは痩せすぎな人に「体重じゃなくてカタチを整えよう」って伝えたくなりました。もちろん彼女たちはプロフェッショナルだから当然のことかもしれないけれど、歩き方、見せ方が本当に素晴らしい。エロスって洋服ではなくて、体で表現するものなんだなってあらためて感じましたね。
試写を観終わった瞬間、「私もやってみたい!」と言ってしまったほど。自分にもできそうという意味ではなくて、彼女たちの美への姿勢を見習いたいという気持ちが、そう言わせたのだと思います。実は観ている間に触発されて、試写室の椅子に座りながら何秒か呼吸を止めて腹筋を意識していました(笑)。普通、前屈の姿勢になったらどんなに痩せている人でもお腹のお肉がたるむでしょ? でもこの人たちは違うんです。
バーをつかんで踊るシーンを観ながら思ったのは、かなりバレエのレッスンを積んできた人たちだろうなということ。足の甲のカタチからも、ものすごい量の練習をしてきたことがわかりました。この映画は、クリスチャン・ルブタンの靴を愛する人にとってももちろん必見だと思います。あんなにヒールの高い靴で踊ることの大変さに思いをめぐらせたり、ルブタンがデザインしたというトウシューズ、私もほしい! と思ったり。私も何足かルブタンのシューズを持っていますが、とにかく履きやすい。
そして靴底の赤が女を感じさせてくれるところが大好きなんです。衣裳やヘアメイクもおしゃれで、ミュージカル『シカゴ』を思い出させるところも。これはダンサーさんたちのカラダとルブタンの靴の美しさをたっぷり楽しむためにも、ぜひ3Dで観ていただきたい作品です。今度パリに行ったら、クレイジー・ホースを訪れたいと思っています。
このページは、女性誌「FRaU」(2014年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。
『ファイアbyルブタン』
光と音の芸術によって完成するヌードショーで知られる、パリのクレイジー・ホース。ゲスト・クリエイターとして招かれたクリスチャン・ルブタンのショーを、3Dで映像化。音楽はデイヴィッド・リンチが手がけている。
Blu-ray:¥5200(税抜)発売・販売元(C)Antoine Poupel