原因不明の脳の病と闘った女性の実話『彼女が目覚めるその日まで』_img0
『彼女が目覚めるその日まで』 12/16(土)より角川シネマ有楽町他全国ロードショー 配給:KADOKAWA ©2016 On Fire Productions Inc.

現実に起こっている事実を知りたいという欲求をエンターテイメントとして満足させてくれるから、新作映画をチェックするのときは、実話をベースにした作品が気になります。そしてやっぱり観たくなるのは、医療に関係した作品。アントニオ・バンデラスが形成外科医を演じた『私が、生きる肌』はマニアックな映画ですが、私が偏愛している一本ですし、カズオイシグロの小説を映画化した『わたしを離さないで』は遺伝子操作を題材にした、切なくて美しい作品でした。

“実話もの”“医療もの”と私が好きな要素が入っていて、しかも同い年の大好きな女優、シャーリーズ・セロンがプロデューサーをつとめているということで観てみたのが、『彼女が目覚めるその日まで』。ラブストーリーかな? と思わせるような邦題ですが、原題は『Brain on Fire』。『脳に棲む魔物』というノンフィクションをもとに、原因不明の病と闘った女性と家族を描いた物語です。

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ドラマ『ドクターX』も今日で最終回。未知子を襲う危機、どうなるのか……、最後まで見届けて頂けたら嬉しいです。

ニューヨーク・ポスト紙で働くスザンナは、1面を飾るような記者になる夢に向かって突き進んでいる21歳。ところがある日、もの忘れがひどくなり、幻聴や幻覚などに悩まされ、やがて全身が痙攣する症状に悩まされることになります。検査をしても異常はなく、精神科への転院を進められるなか、ある医師との出会いが彼女の運命を変えていきます。

今までの順調な暮らしに戻りたいというスザンナの切実な願いをもっと掘り下げて描いてほしかった、という思いは残りましたが、それを吹き飛ばしてくれるのはクロエ・グレース・モレッツの壮絶なお芝居! 病に侵されていくときの迫真の演技を見ながら、ものすごい女優さんに成長したんだなと、『モールス』『HICK ルリ13歳の旅』など子役時代から観続けてきたからか、何だか親戚のような気持ちになりました。

この映画を観てあらためて感じたのは、治療を進めるうえで大事なのは、病院ではなく医師との出会いなのだなということ。『ドクターX』を通してなかなか見つけられない症例があることも知っているので、スザンナが原因を発見してくれる先生と出会ったことは、とても幸せな例だと思いました。「こういうスクラブを着ているんだ」とか「スリッパが一緒だ!」とか、医師たちの衣裳もつい細かくチェック(笑)。やっぱり医療ものは私にとって、気になるジャンルです。

 

『彼女が目覚めるその日まで』
ニューヨーク・ポスト紙で働く21歳のスザンナ・キャハランは、1面を飾る記者になる夢へと突き進み仕事も恋も順調。ところが、物忘れがひどくなり、トップ記事になるはずの大切な取材で、とんでもない失態を犯してしまう。幻覚や幻聴、全身が痙攣する激しい発作を起こして入院するが、検査の結果は「異常なし」。日に日に混乱し、全身が硬直して会話もできなくなってしまったスザンナを見て、精神科への転院をすすめる医師たち。だが、両親と恋人は諦めなかった。NYタイムズベストセラーノンフィクション第1位にも選ばれた、壮絶な闘病の日々を再現したノンフィクションを映画化。12月16日(土)より角川シネマ有楽町他全国ロードショー。

構成/細谷美香