米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。
わずか3億円の制作費で撮影されたのにもかかわらず、第87回アカデミー賞で助演男優賞などに輝き話題をさらったこちらの映画。ドラムの鬼教師と生徒の対決を描いているのですが、あの教師の迫力には、目を逸らしたら殺されるんじゃない!? というくらい圧倒されました。
まるで、ほとんどオカルトのような……。どんな世界にも、こうやって死ぬ気で頑張ってのし上がっていく人がいるんでしょうね。ゆとり世代ではありえない頑張りを見ながら、私もバレエに明け暮れていた頃の、足先が血まみれになってもレッスンを続けていた日のことを思い出しました。
交通事故に遭っても舞台に向かう執念と、ラストの演奏シーンの凄まじさには完全にノックアウトされましたね。アメリカ映画ってハッピーエンドが多いけれど、この映画には、終わりかと思ったその先に暗さと激しさがある。他の人には立ち入ることができない、“2人だけの世界”を映画館でぜひ観てみてください!
このページは、女性誌「FRaU」(2015年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。
『セッション』
主人公は名門音楽大学に入学して、一流のジャズ・ミュージシャンを目指す青年。彼は自分の手で天才を育てる野望を持つ指導者のもとで、ドラムの特訓を始める。ところがその指導者は常軌を逸した、軍曹のような鬼教師だった。アカデミー賞では、教師役のJ・K・シモンズが助演男優賞を受賞している。