米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。
兄弟愛や家族愛が濃密に描かれていて、すっごく泣けるよ! と周囲の何人かにおすすめされた『ザ・ファイター』。期待が大きかったせいか、ズドーンと感動するところまでは到達しませんでした。熱く語ってくれた友人はみんな男性なので、受け取り方の差があるのかも!?
兄弟ボクサーをめぐる実話がもとになっているだけあって、とにかく描写がリアル。悪い遊びや友人を断ち切ることができずに麻薬に溺れてしまう兄、息子を金づるのように思っている母と姉妹たち、そしてそんな家族から離れようとする弟……。
みんなが少しずつ家族のありがたさに気づいていくのですが、勝手なことばかり言う母親を見ながら、産んだ人の責任はないの!? なんて気持ちになってしまいました。
でもきっとこんな風に弱さから逃れられない人間のほうが、現実には多いんですよね。そういう意味では、彼らの生き方をかっこいい美談に仕立て上げることのない、作り手の思い切った姿勢はすごい。役者陣の演技もとてもリアルで、エンドクレジットに出てくる本人たちにそっくりだったことにもびっくりしました!
このページは、女性誌「FRaU」(2011年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。
『ザ・ファイター』
労働者の町でヒーローだったものの、今は麻薬に溺れている元ボクサー、ディッキー。彼の教えを受けながら地道にボクサーとして歩んできた異父弟のミッキー。ミッキーは羽ばたくため、恋人に支えられながら家族と決別するが……。