先日募集した「三尋木さんに聞いてみたいこと、教えてもらいたいこと」にたくさんの応募をくださり、ありがとうございました。おかげさまで100件以上の質問が集まりました! さて、三尋木さんに集まった質問を三尋木さんに答えてもらおうと思います。1回目の今回は、まず三尋木さんがmi-molletだけに語ってくれた独占インタビューを公開! 三尋木さんのことをご存知なかった方にも魅力を知ってもらえるよう、プロフィールからじっくりお届けします。2回目、3回目はみなさんからいただいた質問に答えていただきますので、ご期待ください。

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三尋木奈保 大学卒業後、メーカー勤務を経て雑誌『Oggi』のエディターに。2013年に出版した『My Basic Note:ふつうの服でおしゃれな感じのつくり方』は12万部のロングセラー。現在は雑誌編集のほか、アパレルメーカーとつくるコラボ商品も毎回大人気で売り切れ続出。神奈川県・横浜出身。

 

【おしゃれマニア】ではないからこその
地に足の着いたファッション提案


5年前に発売した『My Basic Note:ふつうの服でおしゃれな感じのつくり方』が12万部を超えるベストセラーとなり、今年発売した『My Basic NoteⅡ ”きちんと見える” 大人の服の選び方』が話題沸騰中の三尋木奈保さん。インタビュー当日、白ブラウスとグレーのパンツのベーシックな着こなしで現れました。トレンド感の強い服を着ているわけではなく、いたってシンプル。それなのに洗練されて見える秘密はなんなのでしょう?

「いえいえ、とんでもないです。私、職業をスタイリストと勘違いされることも多いのですが、18年間、ずっとエディター業でやってきました。おしゃれは好きだけれど、おしゃれマニアではないから、ふつうの服でさりげなく素敵に見えるのがいちばん、と思っていて……。トレンドというよりも、自分が着ていて心地いい服を追求しているだけなんですよ」

確かに、スタイリストは最新のトレンドを取り入れたスタイリング提案をする、ファッション界の最前線。それに対して、エディター業は雑誌業界の「裏方」。華やかなイメージとは裏腹に、いろいろな調整をするために走り回ったり、交渉をしたりと、地道な作業も多い仕事です。それに、三尋木さんはエディターの仕事に就く前、化粧品メーカーに勤める会社員だったそう。ファッション業界に身をおき、常にトレンドの流れを肌で感じながらも、社会人として地に足のついた感覚をもっている。だからこそ、「ふつうなのにどこか素敵」という、私たちがいちばん目ざしたいポジショニングを、自然に手に入れてこられたのかもしれません。

「そう言っていただけてとてもうれしいです。エディターに就く前は、化粧品メーカーに務めていました。以前から雑誌を読むのが大好きだったので、出版社に就職することも考えましたが、編集者になっても自分の好きな雑誌が担当できるわけじゃないですよね。だから、ほかに興味がもてるものを仕事に、と思い新卒で化粧品メーカーに入社。当時はエレガンス全盛期だったので、仕事のときは“ナラカミーチェ”の白ブラウスにグレーのタイトスカート、そして足元は“フェラガモ”のヴァラが定番だったんです。ふだんから“きちんときれい”なのが当たり前。カジュアルを知らなかったと言っても過言ではありません。だから今でも雑誌の誌面をつくるときは、自分が会社員だったときの視点を忘れないようにしています。どんなにおしゃれなスタイリングでも、読者の方がまねできないものだと意味がないですよね。一般の視点でリアルかどうか、そこはエディターとしてこだわりたいポイントですね」

“元会社員”というバックグラウンドがあるからこそ、私たちが真似したくなるコーディネートばかり。納得しました!
そんないつも素敵なファッションの三尋木さんですが、1冊目の本を出したときと、今回2冊目の本を出したときでは、大きく変わったことがあるそうです。

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1冊目の本『My Basic Note:ふつうの服でおしゃれな感じのつくり方』の表紙の着こなしをアップデートした40代版がこちらのコーディネート。トップスはふんわりシルエットに、パンツは程よいゆとりがあるタック入りに、バッグは女性らしい小ぶりタイプに。靴もポインテッドでキレよく見える工夫がされている。ブラウス/エブール パンツ/ZARA バッグ/フリン 靴/ペリーコ(すべて本人私物)


好きなものを好きなように着ている
だけでよかった30代から一変


「これまでの私のファッションの好みは、ヘルシーでトラッド感のある上品なスタイル。そして、洋服がシンプルだからこそ、上質な天然素材にこだわっていました。たとえば、シンプルなコットンの白シャツに、センタープレスの細身パンツ。30代のときは、自分なりに似合っていると自信がもてる組み合わせでした。それが40代になったある日、そんな服を着ている自分が、以前のようにしっくりこないことに気づいて……。妙に“ほっこり”見えるとでも言うのでしょうか? “ほっこり”って、ここ数年ファッション雑誌でもよく見かける言葉ですが、「ちょっとあか抜けない」とか「おばさんぽく見える」という意味合いなんですけどね……。ああ、私、今まさに「ほっこり」してる! って……(泣)。ヘルシーなトラッドカジュアルって、40代の私が着るには、もう厳しいんだなってまざまざと認識しました。あの着こなしが似合うのは30代までの瑞々しい肌と、キレのある体があるうちだけの特権だったんだな、って」

mi-molletでも“おしゃれ更年期”と呼び、ファッションに悩む人が格段に増える40代。三尋木さんも同じように悩んでいたとは驚きです。
 

40代になったら“パサついて見えないように”
という新たなファッションの課題が


「どうやったら再び自分が納得できるスタイルに出合えるのか……。試行錯誤してたどり着いた答えは、“女っぽさと華やかさ”を加えることでした。これまでシンプルでヘルシーなスタイルをよしとしていた私にとっては、まったく無縁の方向性でした。装いに女らしいツヤを加えるのって、なんだか媚びている感じがして苦手だったんです。でも、40代になったら、どうしても肌のツヤもハリも、体型だって、トーンダウンしますよね。言い換えると「パサついて見えてしまう」……。だったら、女らしさやツヤ感を、ファッションで補わなくては、って気がついたんです。そのさじ加減は、今までつちかってきたマイスタイルになじむよう、慎重に吟味しているつもりです。突然、人が変わったように美魔女化したいわけではないので……(笑)。だから今では、女らしいとろみのある素材や、華やかに見えるふんわりとしたシルエットの服に助けてもらっています。以前は、がんばりすぎていないとか、肩に力が入っていないファッションと言われるのがほめ言葉だったのに、40代になった今は、「がんばる気持ちをもったほうがいい」と思うようになりました。ファッションだけでなく、美容や体のメンテナンスも……。最近、もう本当に疲れやすくって、女友達と集まると、そんな話ばかり(笑)。でも、そうやって年齢を重ねながら「自分と向き合う」って、大人だけに許された知的な作業だなと、前向きにとらえるようにしているんですよ。50代になったらまた新たな悩みにぶつかるかもしれません。けれど、またそれを乗り越えれば新たに似合うファッションにたどり着けることを楽しみに、日々過ごしていきたいと思います」

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<新刊紹介>
『Oggiエディター 三尋木奈保 My Basic NoteⅡ ”きちんと見える” 大人の服の選び方』

三尋木奈保 著 小学館 刊 ¥1500(税別)

三尋木さん自身が40代を迎えてこれまでの服が似合わなくなったという、ミモレで言うまさに「おしゃれ更年期」を体験。そんななかで今の自分に似合う服ってなんだろうを丁寧に見つめ直した洋服選びのルールをまとめた1冊。きちんと見えて心地よくいられるリアルで上品なコーディネートが満載です!



皆さんからのご質問に答える中編は4月4日公開、後編は4月11日公開予定です。

撮影/目黒智子 ヘア&メイク/桑野泰成(ilumini)
出演・スタイリング/三尋木奈保 構成・文/高橋香奈子

 

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