今年9月より大人の女性に向けてスタートする新たなメイクアップブランド「Amplitude(アンプリチュード)」のクリエイティブ ディレクターに就任したメイクアップ アーティスト、RUMIKOさん。
新たなキャリアをスタートさせたRUMIKOさんに、年齢を重ねた女性の美しさ、仕事、生き方などについてお話を伺いました。

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RUMIKO  1980年ニューヨークに渡り、その後メイクアップアーティストとして活動。 AMERICAN VOGUEにてデビューし、ハイエンドな世界各国の雑誌・広告等で活躍。世界のメゾン、トップモデル、ファッションフォトグラファーからも絶大な支持を受けて幅広く活躍。 一流ファッション誌の表紙や有名ブランドの広告を手掛け、多くの有名ハリウッド女優に専属メイクを頼まれるまでに成功。NYを拠点としながら、1997年 オリジナリティのあるコスメティックスブランドを日本にて立ち上げる。15年に渡りクリエイティブ ディレクターとしてクリエイションを発揮し、人気ブランドに押し上げた後、2013年7月契約終了。 2018年6月「Amplitude」クリエイティブ ディレクターに就任。


「前のブランドをやめて5年経ちますが、メイクアップ商品の開発はとても好きな仕事なので、機会があればやりたいと思っていました。
今回大人の女性に焦点を当てたのは、自分も年齢を重ねたこともあり、大人の女性がもっと美しくなれるための支援をメイクアップを通じてしていきたい、という思いからです。
女性の人生の第一章は、若さとか外見的な美しさを求めがちです。
でも、第二章に入った女性の方たちは、人間としての美しさ、つまり自分なりの考え方、愛し方、生き方などの内面からにじみ出る美しさを追い求めていくべきだと思うのです」

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ハートがぎっしりつまったアイシャドウとチークパレットの限定商品には「あらゆる意味で愛にあふれた人が美しい」というRUKIMOさんのメッセージ。左/3色のチークカラーが一つに。Amplitude アンプルラブ フォーチークス 右/4色のベージュ〜ブラウンの使いやすいアイシャドウ。Amplitude アンプルラブ フォーアイズ 共に¥7800 (税抜・数量限定)
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RUMIKOさんのベースメイクへのこだわりは右に出るものはいない。今回は大人の肌に、カバー力にもこだわった逸品。左上から時計回りに/Amplitude トランスルーセント エマルジョンファンデーション¥8500 (税抜・全10色、コンパクトは別売り¥2500(税抜))、Amplitude ファンデーションブラシ¥5500 (税抜)、Amplitude ロングラスティング リキッドファンデーション¥9000 (税抜・全10色)、Amplitude クリアカバー リキッドベース ¥7500 (税抜)


世界を見れば80代モデルが活躍している


日本では“大人の女性”といっても、以前は40歳前後を指すものでしたが、近年では50代、60代の方もファッションや美容にとても関心が高いのが事実。
世界を見ても80代のモデルさんや女優さんの活躍にスポットが当っているなど、年齢を重ねることはもはやネガティブなものではありません。
ミモレも年齢を重ねることを楽しんでいる女性が登場していますが、読者の中にはやはり、エイジングとどう向き合ったらいいかわからないという方も多いようです。


「1980年からニューヨークを拠点にしていましたが、2014年に日本に戻ってきて4年目。以前と比べて日本の女性も年齢を重ねた女性たちに興味を持っていることに気づきました。
子育てがひと段落した40代、50代になって自分は何者なのか、自分がやりたいことはなんなのか、といったことに興味を持ち始める。
ただ、その意識は、徐々には変わってきているのでしょうけれど、まだまだ過渡期なのかなとは思います。そういう意味では、若い世代のお手本になるような大人の女性が増えてくれるといいと思いますね。
やりたいことを見つける方法?
そうですね……。時にはSNSやFacebookなどから離れて、自分の内面を見つめることではないでしょうか?
一人で旅をする、一人になる時間を作る。もちろん、他人のいいところを学ぶべきですが、自分が何が好きか、他人と同じでなくていいんです。
私もプライベートではSNSもインスタもやっていませんよ。仕事は何となくやるのではなく、やりたいことがあるからつらい事も頑張れるのだと思うのです」


駆け出しの頃はストレスで毎日胃薬を


世界中からトップを目指して才能ある人々が集まるニューヨーク。女だからと甘えず、男性と同様かそれ以上に働く女性も多い。その中でRUMIKOさんが成功できた秘訣はなんだったのでしょうか。

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長年暮らしたニューヨークを離れた理由を尋ねるとひとつに「ニューヨークも変わって、以前のような刺激を受けることが少なくなったから」との答えが。 取材時は最新のグッチのコレクションを素敵に着こなして。

「私がニューヨークに行った頃は、川久保玲さん、山本耀司さん、三宅一成さんらが注目された時期で、日本人というだけで“何か面白いことができるかも“と思われラッキーだった部分もあります。まだ初期の頃から、ファッション界の最高峰であるアメリカン・ヴォーグから仕事がきたのですから。ただし、同時に壁の厚さも感じました。編集者とか、写真家、デザイナーとか活躍している女性が私の周りにはたくさんいました。彼女たちの共通点は、みんな自分の仕事は妥協せずに十二分にこなすプロフェッショナルであること。アメリカの場合は、チャンスもありますが、結果を出さないとすぐ首になるという厳しい現状もあります。自分の技術を磨き続けるしかないんですね。一流のアーティストの中で『RUMIKOはナチュラルだけど完璧なメイクをする』という、自分のスタイルを確立するのに必死でした。それがないと呼ばれなくなりますから。特に初期は、プレッシャーから胃薬をずっと持ち歩いていたくらいです」


好きなことを仕事にしようと思うならそれなりの覚悟を


ニューヨーク生活が長くていらっしゃるRUMIKOさん。歳を重ねた女性たちのあり方や意識が、日本よりも一歩リードしているように見える米国の女性たちや彼らの生活から学ぶことはあったのでしょうか。

「たくさんありましたね。米国でも男性優位な社会の面はもちろん存在します。でも、女性たちが、それを凌ぐほどすごく頑張っているんです。結婚して、子供ができたら、出産や子育てで一時的に休まなければいけない。でも、何か好きな仕事をしようと思ったら、それなりの覚悟がなくてはいけない。ニューヨークでも子供がいても遅くまで働いている女性もたくさんいました。国や社会の意識が変わらなければいけないというのももちろんですが、女性側にも覚悟が必要なんです。まず、自分たち自身が変わらないと!」

仕事の仕方も意識も変わりつつあるなか、年齢を重ねた女性たちを支えるメイクアップとはどんなものなのでしょうか?

「自分の生き方や仕事の仕方を持っている女性は顔にも現れます。そういう人達は、ほとんどメイクをしていなくても、カッコいいんです。だから、新しいブランドのコンセプトのキャッチも“カッコイイ大人美“とつけたのです。生き方が潔い。もちろん、愛情もあるし、優しさもある。そして可愛さもあるような、カッコイイ女性。メイクは、あくまでも元気づけたり、生き生きと毎日を送るための後押しをするひとつの道具だと思うのです。気分が乗らないときに、好きな色の口紅を塗ったり、キレイに仕上がるファンデーションをつけて、鏡を見ると、“なんか今日ちょっとキレイかもしれない”って気持ちが上がる。“1日、頑張ろう”って思える。それがメイクの力なんだと思います」

まさに今、新しいキャリアをスタートさせたRUMIKOさん。今後のご自身の未来をどう描いているのか伺うと……。

「まずこのブランドに力を注いで、大人の女性がもっともっと活躍できるようにサポートしていきたいと思っています。
そのために健康と気力も必要なので、週4日はジムでランやウエイトトレーニングをしていますね。
100歳まで生きたい、とは思っていませんが、ある程度の年齢までは仕事をしていきたいと思っています。
また、メイクとは関係ないのですが、私は子供がいないので、親がいない子供、病気の子供などをサポートするようなボランティアもしたいと思います。
個人的には? 旅行をゆっくりしてみたいですね」

取材・文/立田敦子
構成/片岡千晶(編集部)