私は、観劇も好きです。小劇団のオリジナル作品から、大ホールで行われる商業的な作品まで、できるだけ劇場に足を運ぶようにしています。あの時間や空間など、すべてに制約がある中で進んでいく緊張感を味わうことが好きなのかもしれません。
さて、先日、演劇・ダンスの実技を専門的に学べる初の国公立大学の初代学長に、平田オリザさんが就任することが発表されました。その国際観光芸術専門職大学(仮)は、2021年4月開学を目指す兵庫県の専門職大学で、文化・観光創造学部文化・観光創造学科(仮)の1学部1学科で、学生は2年次以降「観光」「アートマネジメント」「パフォーミングアーツ」の3つからコースを選択できるようになるそうです。ご自身のブログでは、「哲学や歴史学、人類学といった教養=リベラルアーツとしての演劇教育を推し進めたいと考えています」とも書かれています。
詳しくは平田さんのブログへ
演劇やダンスという舞台を成立させるにはオリジナリティが問われます。むろんそこにはクリエイティビティが必要になります。スタッフ同士のコミュニケーションが発生します。たくさんのディスカッションも必要となるでしょう。たくさんの互助精神や相互理解も。たくさんの「役割」が創出されるので、それをまとめあげるマネージメント能力も。トラブルに瞬時に対応する柔軟性も……と書いていくと、「あれ、これからの時代に必要と言われている素養がほとんどすべて入っているのではないか?」と気づきました。
ひとつの作品を作りあげるためには、俳優だけでも、演出家だけでも、美術担当だけでも成立しません。先日バタやんがブログで、劇作家で演出家でもある鴻上向史さんの本を紹介しておりましたが、自分という才能と向き合うと同時に、他人の才能も理解し、許容し、生かそうとすることも必要になってくるはずです。
「教育」を語ることは、未来を語ることとほぼ同義語だと思っています。今日から平田オリザさんの『22世紀を見る君たちへ』が始まります。新しい教育のあり方を提示するであろう大学の学長に就任される平田さんの言葉に触れることで、ぜひ「未来」に思いを馳せてください。
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