ここ数年で買い物のあり方が劇的に変化しているのを感じています。とりわけファッション分野。 “リアル店舗”よりも“バーチャル店舗”のほうが遥かに扱っているモノの量が多いですし、ブランドを超えた比較もしやすい。さらに、買い物後に運搬する手間もかからないし、ポイントだってためやすい……。
では、何のためにリアル店舗は必要なのでしょうか?
その答えを明確に表現した2店舗が、代官山の旧山手通り沿いに同じ日にそれぞれオープンしました(この偶然に、なんだか必然的なものさえ感じます)。
(咲子も先日記事にした)カリフォルニアに住むひとりの女性の家を再現した、THE STORE by C’。アパレルショップというよりは、さながらインテリアショップ。玄関、リビング、ダイニング、ベッドルーム……それぞれのシーンに合わせ、家具やアート、そしてウェアが配置されています。読者の方からよく「自分に似合うブランドが分からない」との相談を受けますが、このショップはそんな心配ご無用。センスのよい友達の家に遊びに行くような気持ちで、もしかしたら、ちょっと覗き見気分で(!?)ショッピングを楽しむことができます。
もう一店舗は、(山根さんがブログで紹介していた)ECショップでありながらフィッティングを目的としたショールーミングストアをもつTHIRD MAGAZINE。大人の女性が、“世間の目”ではなく“自分の目”で、改めて自分がワクワクする服、スタイリングに出会えるセレクトショップです。代官山にできたリアル店舗はショールーミングストアなため、基本的には買い物をすることができません。ゆえに、買い物プレッシャーがなく、友達にアドバイスをもらうような気軽な気持ちで、スタイリングのプロであるショップスタッフ(タイミングがあえば、ディレクターの祐宗さんやプレスの中山さんからも!)に相談ができるのが魅力です。
まったくブランドコンセプトもあり方も違う2つのショップですが、共通しているのは、“リアル”でなければ意味がないという強いメッセージ性があること。五感をフル稼働させて世界観に浸ってもらうための空間作りに特化したTHE STORE by C’と、試着やスタッフとのコミュニケーションの場としての機能に特化したTHIRD MAGAZINE。Amazonの今後の戦略を見てもECサイトのさらなる発展は火を見るより明らかです。だからこそオリジナリティあふれる“体験”を提供することが各リアル店舗に課された急務の課題。その答えを明確に提示した2つの店舗と言えましょう。
急がば回れ!
個人的には、このような“体験”の蓄積こそが、自分の血となり、肉となり、おしゃれ筋肉を鍛えてくれる近道なのではないか、と思っています。ECサイトを上手に使いこなしつつも、いろいろな “体験”を億劫がらずに軽やかに楽しんでいきたいですね。
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