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10代の性の現状と学校の性教育〜日本の性教育のいまと未来〜

世界のスタンダードからかなり遅れを取っていると言われる、日本の性教育。いまどきの10代の子どもたちは、学校で何を学び、どんな性のトラブルを抱えているのでしょうか?

今回は、私たち大人にはなかなか見えてこない、子どもたちを取り巻く性の環境について、社会の課題として性教育の問題に取り組み、性の健康を社会に広める場づくりに奔走するNPO法人ピルコン理事 染矢明日香さんにインタビュー。性に傷つき、悩む子どもたちを減らすために必要なこととは、一体何なのかを探ります。

慶応義塾大学在学中、ご自身が人工妊娠中絶を経験したことをきっかけに、望まない妊娠や中絶を防ぐ知識を学び、広めようと学生団体を立ち上げたのがピルコンのはじまり。社会人となり、一度は一般企業に就職したものの、やはり、この豊かな社会で本当に必要なものを広めていくことを仕事にしたいと、ピルコンを再始動。現在は、性教育という価値あるものをいかに社会に受け入れやすいものにしていくかということに、大きなやり甲斐を感じているそう。

 

10代のセックスは
「非行」ですか?


−−− ピルコンさんは、性についてのアンケート調査やメール相談、講演会などを通じて、子どもや若い人たちの生の声を聞く機会も多いと思います。子どもたちの性の現状には、どんな特徴がありますか?

染矢:そうですね、まず私たちがこの春に行ったアンケート調査によれば、「性交」「セックス」という言葉を初めて知った年齢は、12歳未満が54.1%、中学校段階(15歳未満)では93%という結果が出ています。

また中高生では、地域や学校によりばらつきがありますが、“彼氏や彼女ができたら性行為をする”ことは特に珍しいことではなくなっている一方、セックスや避妊について教育される機会は学校の先生の裁量に任されているというのが実状ですね。

−−− 中高生のうち、どのくらいの子どもたちがセックスを経験しているのでしょうか?

染矢:2017年の日本性教育協会による調査では、セックスの経験率は、中学生で約5%、高校生で男子14%、女子19%、大学生で男子47%、女子37%。2013年の東京都幼・小・中・高心性教育研究会による調査では、都内の高校3年生のセックスの経験率は、男子28%、女子18%という結果でした。

ただ最近は、10代後半の性行動は活発な層と不活発な層に二極化していると指摘されています。活発な層ではセックスがカジュアル化。不活発な層は、そもそも人とのコミュニケーションが苦手な傾向にあり、ネットや漫画のなかに自分好みのキャラクターやストーリーを見つけて、性的欲求を満たしているようです。

また特に女子では、性に対して嫌悪感を持ったり無関心な人が増えているというデータも。主な性情報をネットメディアから得るようになると、性暴力や女性蔑視的な表現に触れる機会が増え、セックスがネガティブなものに感じられてしまうのかもしれません。

−−− 逆に、セックスを肯定的に学ぶ機会はあまりなさそうですね。

染矢:そうなんです。学校で習うのは、受精の仕組みなど生物学的なことが中心。本来、相手のいる性行為は人間関係の延長線上にあるもので、リスクや暴力につながる側面だけではなく、愛情を表現したり、絆を深めたり、自己肯定感を感じたりできるもの。また、そのような関係性を目指すべきだと思います。セックスには肉体的にも精神的にも快楽を伴うという側面もあります。ですが、学校の先生方は、私たちに講演を依頼するような学校であっても「性行為を助長するような話はやめて欲しい」と思っている人が多い印象を受けます。

−−− 肯定的に語ることは、性行為を助長することになる、と。

染矢:はい、日本の学校教育では、性行為は「非行」とされる傾向がまだあります。性行為や性に関することを肯定的に学ぶ機会が少なく、教育に携わる人も語りづらさを持っているのが実情です。

「日本では、年間約16万件の中絶が行われていて、そのうち10%が10代です」と染矢さん。「スマホやインターネットが普及し、子どもたちが性的メディアに触れる機会が増えたいまだからこそ、自分や相手の心と身体を守り、尊重するための正しい知識をいち早く身につけることが必要だと思います」
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