③ 鏡に映る笑顔が変わった
夫婦は一緒にいるとよく似てくるという、そう、ペットだってよく飼い主に似るというもので、私はよく散歩している飼い主とペットを見比べてしまう癖がある。おもしろいことにやはり似ていると思うことの方が多い。あまりにも似ていて思わず可愛くて吹いてしまうこともしばしば。似てくるのはよく同じ食べ物を食べているから、それもある。同じ暮らしをしていたら環境によって似てくる場面もある。
今私がここで話すのは、つまり、自分の目の前にある人と目の前に起こることすべては鏡のようなもので、私が負のエネルギーを投げかければ、そのエネルギーはそのまま自分の目の前にあるものにぶつかり、すなわちそれが自分のもとに帰ってくるということ。夫、家族、友人と親しい関係上でも、他人でも対象人物があれば同じこと。
20年近く前の本になりますが、江本 勝さん著者の「The Hidden Message in Water」や「水からの伝言」では、良い言葉をかけた水が美しい氷結結晶をつくり、ばかやろうなどという乱暴な言葉を投げかけた水は腐り、イガイガした形の氷結結晶をつくるという、言葉の持つ影響力、波動について書かれていました。当時は、ただ純粋に美しい結晶の写真や映像に魅せられて眺めていたり、窓辺に置いたサボテンに楽しく話しかけたり、道端の植物におはようと挨拶したりして良い気分になっていたけど、大人になった今、思い返すと科学的根拠を問う思考も多少持ったりもしますが、私個人的に思うことは、やはり、言葉、文字に宿るエネルギーは発信する本人自身がどういう気持ちを持って、発したものなのかが一番大きなことなのだろうと。
例えば、ばかやろう。という乱暴な言葉の裏側に大きな愛が隠れていたら、ばかやろうという言葉も美しい波動として伝わるのだと思います。「ありがとうございます。」そんな言葉でも、気持ちや思いがなければ意味をなさないポジティブな言葉でも、ポジティブなエネルギーは存在しないのだと思います。結婚して新しく生まれたふたりのスペースは、ときに笑いに溢れ、ときに静かで安らぎに満ちていて、ときにストレッサーに気持ちを振り回される不快なものともなりました。
そんな波をふたり乗り越えながら5年の月日が流れ6年目あたりのこと。いつしか、疲れて余裕のない私は甘え方をはき違えて過ごし、夫もまた同じような態度で私をさらにイライラさせた。気分を紛らわせたりしながらも思いもよらぬ、事件に遭遇!! 私には事件と呼びたいほど衝撃的な気付きに出会うことに。
きっかけは鏡だった。鏡に映る自分の顔に驚愕。夫の態度が気に入らなくて不機嫌にしていた私が、ふと見た鏡に映った自分の顔のひどさに驚いたのでした(ムンクの叫びをモチーフにした絵文字がぴったり。笑)。私はこんな顔で夫の側にいたのか??これじゃ優しくもされないわ。したくもなくなるよね。それほどにひどく不細工な私だった。自分の頭のなかにあるこんな(不機嫌な)顔をしているだろうなという顔とは全く違って、私ならこんな顔をした嫁とは暮らせないとさえ思うひどい顔。
それからというもの、その過去を拭うように毎日口角を上げた。家の鏡を増やそう!(それには別の問題が生じた。笑、気に入った鏡はすぐには見つからず...)それはしなかったけれど、かなり意識して毎日笑顔をこころがけた……というより、あの衝撃が私の口角を無理やりにでも上げさせた。どれくらい経ったのかは覚えていないけれど……笑顔マークのような私に変化が訪れる。気分が良いのだ。夫への”こうして欲しくない”という否定も、口角を上げた口は明るくユーモアを雑えたしぐさで“こうして欲しいの、お願い出来るかな”と言葉を変え、甘えさせた。すごい効果なのだ。顔の筋肉が上がっていると脳はその筋肉の動きを察知しているのだと思う。文句が言いづらいのだ。思いっきり口角をあげて言ってみて欲しい。「もううんざりするのよ、何度言っても同じことするんだから」全くを持って言いづらい。笑。だから言葉さえも変わってくるのです。
夫との間にはもちろんたくさんの相違があることは理解出来ていても、自分の正義と夫の正義がいつだってぶつかった。何度もなんども衝突していらない暴言だっていっぱい吐いた。そして8年目を迎えた今、私たちは、以前より上手にお互いを尊重する言葉を話せるようになった。それは、自分から、相手を尊重する思いやり持って優しく接することだった。人に優しくあるためには先ず強さが必要。それからは、私が乱れた時には夫がそれを受け入れ流して、まぁるく優しく包み込んでくれる。夫が乱れれば私も同じくそうした。ふたりはふたりが心地よく過ごせる術をラーニングしいく。また何かにぶつかれば、またそこで強く丈夫になっていく。
好きだと思える自分に出会えるようになったのは、夫に映った自分の姿を見ることができたから。ひとりじゃ気付けないことがある、学べないこともある。これは夫婦だけのことではなく誰にだってそう、同僚でも、部下でも、上司でも、恋人でも、友人でも、親、兄弟、子供でも、動植物にだって、地球にだってそうなんだ。と、ずいぶん話しが壮大なってきてしまうけど、歳月を重ねるほど良い関係になっていく、崩れたってまたすぐに気持ちを立て直せる強さを持ち続けたい。それが私を幸せにするから、少しの努力を毎日続けていくことはポジティブなエネルギーを生む行為で、心豊かに暮らす知恵のひとつ。今だって、時おり顔を歪めてしまう日だってあるけれど、鏡に向かって笑顔を作る、どうしたって上手くいかない、笑顔の作れない日は他力本願、マッサージにでも出かけて凝り固まった身体を解してもらう!私たちは、人と人で助け合って生きているのだから、ひとりで頑張りすぎなくていいと思う、ときには甘えよう。
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