読者のみなさんに旅にぴったりの本をアンケート。昨年に続き2回目、ということもあってか、ランキングにならないほど見事にバラバラでした! というわけで、今回は挙げられた中から、旅に持っていきやすい文庫・新書で手に入る作品に限定。さらに編集部が「なるほど〜」「面白そう!」と思ったものをジャンル別にご紹介します!


【旅エッセイ】気軽に読めて、旅の気分も盛り上がる

「心がほどける小さな旅」(益田ミリ・著、幻冬舎文庫)

小説より気負わず読める、なんとなく開いたページから一編だけ読んでも楽しいと、エッセイを挙げる人が多数。益田ミリさんは昨年もご紹介しましたが、今回も何人かの方から名前が挙がり、ミモレ世代からの人気ぶりがうかがえました。「心がほどける〜」では、季節や目的に合わせた気軽な国内旅を多数紹介。
・「益田ミリさんのエッセイかマンガ。スーちゃんシリーズならば、せかせかした悩み多き日常に突っ込みを入れながら振り返ったり、旅エッセイや『週末、森で』『きみの隣で』ならば、日常ではないところに来ている感が高まる気がします」(みみ33さん)
・「益田ミリさんの旅エッセイ」(いなばのしろうささん)


【食エッセイ】美味しいものが食べたくなる、おなかがすく!

「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」(石井好子・著、河出文庫)

もうひとつ、エッセイで人気だったのが“食”もの。気軽に読めるだけでなく、食からその土地の文化に触れているものが多いのも旅におすすめの理由です。「巴里の空の下〜」は50年代にパリでシャンソン歌手としてデビューし、帰国後はエッセイストとして活躍した、石井好子さんの処女作にして代表作。“料理エッセイの元祖”ともいわれる名著です。
・「石井好子さん、阿川佐和子さんなどのグルメエッセイ。一編ずつ読める短編がいいです。自分の旅行先のグルメの話が一編入っていたらベスト」(17さん)
・「東海林さだおさん、池波正太郎さん、妹尾河童さんの食のエッセイは読むと楽しくなります」(きあさん)


【世界の名作】時間がある旅先だからこそ、大物に挑戦

「星の王子さま」(サン=テグジュペリ・著、内藤濯・訳、岩波文庫)

有名だけど実はまだ読んだことがない、定番ゆえにタイミングを失ったまま、という本は誰にでもあるもの。そういった作品に、旅をきっかけに挑戦する人も。「星の王子さま」は、1953年に日本で最初に出版された内藤濯氏による岩波版が有名。現在は新訳もたくさん出ているので、読み比べてみるのもいいですね。
・「『星の王子さま』。読み返すたびに感じ方が変わります。薄くて軽いので、旅に持っていっても邪魔にならず、移動時間にちょっと読むのにちょうどいいです」(ORIONさん)
・「海外旅行は、世界の名作。飛行機の時間が長いので」(touaregさん)


【紀行】(1)その国の歴史や文化をより深く味わうために

「名画で読み解く イギリス王家 12の物語」(中野京子・著、光文社新書)

みなさんが挙げてくださった“その土地を題材にした本”から、旅に行かずとも楽しめそうな2冊をセレクト。「イギリス王家〜」の著者・中野京子さんは、昨年一大ブームとなった『怖い絵』展で特別監修を務めた方、といえばピンとくる人も多いはず。数々の名画がフルカラーで収録されており読み応えも抜群です。
・「今年ロンドンに行くフライトの中で『名画で読み解く イギリス王家 12の物語』を読みました。本自体は歴史物ですが重すぎず、気分を盛り上げるのにちょうどよかったです。予定になかったのですが、その中で紹介された絵が気になって見に行ってしまいました」


【紀行】(2)一つのテーマから“お国柄”や文化の違いを楽しむ

「ビール世界史紀行-ビール通のための15章」(村上満・著、ちくま文庫)

もう一つは、日本人も大好きなビールの、約5000年にも及ぶ歴史を追った紀行もの。著者の村上満さんは日本のビール造りの第一人者といえる人物。ビールの基礎知識をまとめた巻末の『ビール小事典』を読むだけでも、現地で飲む一杯がいっそう美味しくなりそうです!
・「国産、世界のビールの歴史本。行く国の背景を面白い切り口で知られるし、着いてから飲む想像をしながら楽しめる」(おかだまさみさん)


【短編集】ちょっとした空き時間が極上のエンターテイメントに

「さがしもの」(角田光代・著、新潮文庫)

短い時間で読み切れるように短編集を持っていく、という意見も多く挙がりました。角田光代さんの「さがしもの」は、本にまつわる9つの物語を収録。「この本が、世界に存在することに」改題。
・「『さがしもの』の中の一編『旅する本』。読んだ直後は、まるでノンフィクションを読んだような気持ちになりました」(ニルスさん)
・「サガン『絹の瞳』や、オー・ヘンリーの作品など。短編なので空いた時間に読めるところが気に入っています」(jade111さん)
・「恋愛ものの短編集。普段忘れている感情を呼び起こす」(ゆまさん)


【時代小説】あえてリゾートで?! 旅先とのギャップが楽しい!

「あきない世伝 金と銀 源流篇」(髙田郁・著、ハルキ文庫)

日常から離れるための装置として、あえてリゾートに時代小説を持っていく、という意見に目からウロコ。作家さんではとくに髙田郁さんが人気のようです!
・「髙田郁さんの『あきない世伝 金と銀』。文庫でうすく、内容も重すぎず軽すぎずでいい」(ゆゆとまさん)
・「髙田郁さんの時代小説が好きなので、出かける時にはよく持参します」(Bagleさん)
・「あえて旅先とまったく逆のものを選んでいます。リゾートで日本の歴史ものなど」(kpさん)
・「ビーチリゾートで時代小説、のギャップがすべて非日常」
・「文庫本で、時代小説。現実を忘れるので」(ちからさん)


いかがでしたか? 旅の予定の有る無しに関わらず、読書の秋を楽しむための参考になれば幸いです。「これも面白かった!」というおすすめもぜひ教えてくださいね! 次回は「話題の“プレミアムビジネスホテル”に泊まってみたい!」です。どうぞお楽しみに。

 
 
取材・文/山崎 恵 構成/川端里恵(編集部)
 

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