ファンにとっては「実質無料」!? トム・ヒドルストン来日撮影&サイン会_img0

William Callan/BAFTA LA

洋画沼に生息している方たち、とりわけ英国人俳優沼にどっぷりの方たちにとって最近の大きなトピックスといえば、これではないでしょうか。ポップカルチャーの祭典「東京コミコン2018」にトムヒことトム・ヒドルストン来日決定!! しかも撮影会&サイン会がそれぞれ2万8000円だなんて、(一般の人がどう思うかは別として、ファンにとっては)思わず目を疑うほどの大盤振る舞いですよね。ここで発動するのが、おたくにありがちな実質無料理論。ハマっている界隈が違っても、たとえばDVDの特典映像があまりにも充実していたり、雑誌に掲載された推しの顔面が強かったりすると軽率に発動される、おなじみの理論です。今回の案件、東京に住んでいれば旅費もかからず本物のトムヒに会えて2万8000円…。冷静に考えてもやはり実質無料です。

 

トムヒといえば名門パブリックスクールのイートン校からケンブリッジ大学へ進学、王立演劇学校を卒業したという学歴を持つ超エリート。もはや何頭身なのかわからないほどのスタイルでスーツを着こなす完璧な英国紳士(貴族の家系という噂も!?)。なのに、インタビューなどで垣間見せる素顔は気さくでお茶目、いわゆる歩く“ギャップ萌え”です。古い話で恐縮ですが、テイラー・スウィフトとの交際が騒がれているときには、「I ♡ T.S.(Taylor Swift)」とプリントされたTシャツを着てデートしているところをパパラッチされるなど、脇の甘さもまた最高にかわいい。

マーベル映画『マイティ・ソー』シリーズのロキ役でブレイクしたわけですが、今年、事前情報ほぼゼロで『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を観た私は、冒頭でロキが消えてしまったことに茫然…。は!? ちょっと待って! 絞殺とか聞いてないんですけど!? とかなり動揺してしまいました。でも最近、リリースされたDVDをまた見返して、こんなに多くのキャラが死んじゃうなんてありえないことだから、ロキだって本当は死んでないってことだよね! と前向きな気持ちを取り戻しています(いや、でもわからないですよね…)。とりあえず今後、ディズニーが予定しているストリーミング・サービスでロキのスピンオフドラマが配信されるようなので、ほっとひと安心です。

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© 2018 MARVEL

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好評発売中 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー MovieNEX』/4200円+税 デジタル配信中


そしてトムヒといえばイケボ(=イケメンボイス)。ツイッターでお優しいアカウントの方があげてくれて知ることができた「トムヒが円周率を読み上げているだけの動画」。初めて聞いたときは山手線の中だったのに本格的にニヤついてしまい、マスクもしていなかったのであやしさ全開の中年になってしまいました。みなさんも外出先で不用意に聞くと社会的に死ぬので気をつけてくださいね。

今回、残念ながらトムヒのチケット争奪戦には敗れてしまったのですが、私は推しの視界には入らず透明になって天井裏あたりから推しを眺めていたい…! と推しをすぐに神格化してしまうタイプなので、不参加が正解かもしれません。でももしもミモレ読者の方で生トムヒ様を拝んだよ! という方がいらっしゃったら、こっそりレポしていただきたいです。

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Walt Disney Studios Motion Pictures / Photofest / Zeta Image

ちなみに仕事で携わらせていただいた俳優さんの写真集の手渡し&握手会にお邪魔した際には、ファンの方は涙ぐんだり、目を合わせることができなかったり…、うんうんその気持ち、痛いほどわかるよ! と思っていると、「好きなおにぎりの具はなんですか?」「鮭、かな」などと普通に会話する猛者も現れ、ファンの方のタイプも人それぞれ、色々な楽しみ方があるんだなぁと実感しました。

…と書いている間にも、エズラ・ミラー、さらにはジェレミー・レナーの来日まで決定した模様。スターの一極集中による磁場の乱れが懸念されるほどのこのコミコンの豪華さ、一体全体どうなっているんでしょうか。よくわかりませんが、とにかく東京の空気がおいしい数日間になることは間違いなさそうです。

映画ライター 細谷 美香
1972年生まれ。情報誌の編集者を経て、フリーライターに。『Marisol』(集英社)『大人のおしゃれ手帖』(宝島社)をはじめとする女性誌や毎日新聞などを中心に、映画紹介やインタビューを担当しています。

構成/榎本明日香、片岡千晶(編集部)

 

著者一覧
 
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映画ライター 細谷 美香
1972年生まれ。情報誌の編集者を経て、フリーライターに。『Marisol』(集英社)『大人のおしゃれ手帖』(宝島社)をはじめとする女性誌や毎日新聞などを中心に、映画紹介やインタビューを担当しています。

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文筆家 長谷川 町蔵
1968年生まれ。東京都町田市出身。アメリカの映画や音楽の紹介、小説執筆まで色々やっているライター。著書に『サ・ン・ト・ランド サウンドトラックで観る映画』(洋泉社)、『聴くシネマ×観るロック』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、共著に『ヤング・アダルトU.S.A.』(DU BOOKS)、『文化系のためのヒップホップ入門12』(アルテスパブリッシング)など。

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ライター 横川 良明
1983年生まれ。大阪府出身。テレビドラマから映画、演劇までエンタメに関するインタビュー、コラムを幅広く手がける。人生で最も強く影響を受けた作品は、テレビドラマ『未成年』。

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メディアジャーナリスト 長谷川 朋子
1975年生まれ。国内外のドラマ、バラエティー、ドキュメンタリー番組制作事情を解説する記事多数執筆。カンヌのテレビ見本市に年2回10年ほど足しげく通いつつ、ふだんは猫と娘とひっそり暮らしてます。

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ライター 須永 貴子
2019年の年女。群馬で生まれ育ち、大学進学を機に上京。いくつかの職を転々とした後にライターとなり、俳優、アイドル、芸人、スタッフなどへのインタビューや作品レビューなどを執筆して早20年。近年はホラーやミステリー、サスペンスを偏愛する傾向にあり。