モノを捨てるというのはあくまで結果であって、目的は生活をコンパクトにすることです。自分の生活のどこにムダがあるのかを考えれば、必然的にそれに紐付いたモノも捨てることができます。モノの棚卸しと人生の棚卸しは同じであるということに留意してください。

部屋の中にあるモノの数は、その人の多動力に比例すると筆者は考えています。いろいろなことにチャレンジする人は、どうしてもその分だけモノが増えてしまいますが、そのすべてが必須なのかというとそうではありません。家の中にあるモノが、自分の行動のどの部分と結びついているのかを考え、優先順位を設定することで、重要度が低くなった生活習慣とそれに紐付いたモノを選び出していくのです。

 

これができたら、人生の後半戦において、それほど重要ではないと思えるモノから、順次、捨てていきます。大事なのは、過去ではなく未来を起点に考えることです。これは使わないけど取っておきたい、と考え始めるとキリがありませんから、やはりある程度の大胆さは必要です。

この話では、モノと自分の行動が結びついていることが大前提ですから、モノをひとつ捨てるたびに、自分の生活もシンプルになっているはずです。こうして段階的なコンパクト化を進めていき、最後まで残ったモノは、自分がどうしても維持したい生活スタイルそのものという形になります。

この段階まで来たら、無理にその後の断捨離を進める必要はありません。これまでの断捨離で、ある程度、心とスペースに余裕が出来ているはずですから、ここからは、その余裕を生かして、さらにどこまで生活をコンパクトにできるのかゆっくり考えていけばよいでしょう。

スリム化の対象は、人間関係も例外ではありません。自身の持ち物は、どのような人と付き合っているのかという部分からも大きな影響を受けています。40代以降は、誰と積極的に付き合っていくのか、誰と距離を置くのかなど、人間関係についても棚卸しを考えるべき時期です。

あまり意味のない人間関係は少しずつ整理し、大事な人との関係を深めることに時間やお金を使った方がよいでしょう。当然ですが、それに伴って、自分の持ち物も変わってくるはずですから、最終的にはすべてが生活のコンパクト化につながっていきます。

生活のコンパクト化は、ゆっくりとで構いませんが、着実に、そして継続的に実施することが大事です。

あまり大きな声では語られていませんが、支出が収入を上回り、老後の生活が苦しくなってしまう人の大半は、40代以降もメタボな生活を続けた人というのが偽らざる現実です。生活のコンパクト化を実現できれば、気がついた時には、人生の後半を豊かに過ごせているはずです。 

 
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