バハティさんからの質問
Q. まわりの人がみんな名前で呼ばれる中、私だけ苗字で呼ばれます……。

ほんの些細な悩みです。大人になると「名前+ちゃん」で呼ばれることは少なくなり、「苗字+さん」が多くなると思います。今習い事をしており、私より少し歳下の男性の先生は、女性の生徒さんを年齢関係なく「名前+ちゃん」で呼んでいますが、私だけ「苗字+さん」です。私って取っつきにくい雰囲気なのかな、嫌われてるのかな……とネガティヴなことばかり浮かんでしまい、趣味の場なのに寂しい気持ちになります。そして、こんな些細なことを気にする自分が子供っぽくて情けないです。笑顔を心がけたり、ソフトな言葉使いをしたり、まずは自分から心を開こうと思っていますが、人見知りで初対面の人を前にハシャぐことは苦手です。どうしたらプライベートでフレンドリーに接してもらえるのでしょうか?(42歳)

特別ゲスト 小林照子先生の回答
A. アナタだけ苗字で呼ばれるのは
アナタだけ低く見られていないということよ。

バハティさんだけ苗字で呼ばれている、とのこと。いいじゃないですか。それは尊敬されている証ですよ。よく子供の頃、顔立ちが整っていたり背が高かったりして大人っぽく見られたと、という人がいらっしゃいますよね。たしかに苗字で呼ばれるというのも、子供時代の出来事だったら、「かわいがられていない」という寂しさも生まれると思います。バハティさんはもしかしたら、子供時代にそういう経験をされたのかもしれません。でも、だからこそ大人になった今は、周囲から尊敬され、きちんと大人として扱われているのですよ。ならばそのまま大人として振る舞うのが自然。名前で呼ばれようと、無理してハシャぐのは違うと思いますよ。

“ちゃん付け”というのは、一見かわいがっているようでいて、実は下に見ている、という行為でもあるのですね。ですから私は、この習い事の先生がどうなのかしら? と思いました。だって大人をちゃん付けで呼ぶなんて、そもそも失礼な行為。「この人ならちゃん付けで呼んでも怒らない」とナメているから、そう呼ぶんだと思うのですよ。そこには相手に対する敬意がないな、と私は感じてしまいました。

以前に、あるカリスマ美容師の講演を聞いたのですが、彼は「カリスマになった理由」を聞かれて、「お客さんの扱い方が上手いから」と答えたんです。どう上手いかというと、『超かわいい』を連発したり、それこそお客さんを“ちゃん付け”で呼んだりする、とのこと。何だか嫌らしいわよね。私は彼の後に講演する予定だったのですが、そこで「かわいいだけの女になったらダメよ!」と、よっぽど言ってやろうかしらと思ったものです(笑)。そのように男性は、往々にして女性は“ちゃん付け”で呼べば喜ぶだろうと思っているのですよ。でもバハティさんは違う。先生も、この人は子供扱いしてはいけない、と感じている。つまり、一目置かれているのです。
実は私も若い頃から大人顔で、会社勤めを始めた頃は、童顔の同期ばかりが“ちゃん付け”で呼ばれてチヤホヤされていたものです。でもね、しばらくすると同期の中でも、私にばかり大きな仕事がくるようになったんですよ。大人顔だから安心できたのでしょう。私もそこでウンと頑張りますから、評価もされてさらに大きい仕事がくるようになる。“ちゃん付け”で呼ばれていた同期は、「扱いが違いすぎる!」と怒って会社をやめてしまいました。余談ですが彼女はその後、会社をやめたもののいろいろ苦労したのでしょう。良い大人の顔になって、また会社に戻ってきました。そして大きな仕事を任されてバリバリ働き、私のことも「あのときは嫉妬していた」と評価してくれ、今でも良いお付き合いを続けています。

つまり苗字で呼ばれるということは、低く見られていないということなんです。とくに40代以降は、大人に見られたほうが何かと得。尊敬されて初めてできることがいっぱいありますから。たとえば子育てが終わったからといきなり就職したとしても、大人顔だとベテランのように思われてナメられない、など。そういう雰囲気って一朝一夕には生み出せないもの。だから今すでに“ちゃん付け”されない自分であって良かった、そう思ってください!

PROFILE
  • 小林照子(こばやしてるこ)1935年生まれ。美容研究家。現在のコーセーを経て、1991年に「美・ファイン研究所」を設立。モデルや女優、政治家など何万人ものイメージ作りを手がけるほか、[フロムハンド]メイクアップアカデミー、青山ビューティ学院高等部東京校・京都校の学園長も務めている。最新著書『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)が好評発売中。プライベートでは27歳で結婚。娘の小林ひろ美さんは同じく美容家として活躍中。 この人の回答一覧を見る
 取材・文/山本奈緒子 

 

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