どんなものが投資なのかというと、例えば、お店の開業に必要な支出を思い浮かべればよいでしょう。
パン屋さんを開業しようと思ったら、店舗を借りて内装を施し、パンを焼く窯やショーケースなどを揃えなければいけません。これらは満足を得るための支出ではなく、パン屋さんの営業でお金を稼ぐための支出です。つまり将来、お金を稼ぐための支出を投資と呼んでいるのです。
世の中の支出は消費か投資かのどちらかですから、消費をできるだけ控え、将来、富を生み出す投資の割合を増やした方が、経済的にトクであることは明らかです。支出にメリハリが付けられる人というのは、言い換えれば、投資の割合を増やせる人ということになるのです。
こうした観点で自分の支出を眺めて見るといろいろなことが分かると思います。
例えば、語学学校に通うための学費というのは、将来、語学を習得することで何らかのメリットを得ようとしていますから、投資に分類することができます。一見すると消費に見える洋服への支出も、対外的な印象を高め、人間関係を有利にするための道具と考えるなら、立派な投資です。
しかし、何となくという理由で学校に通っているようでは、それは投資ではなく消費になってしまいますし、洋服の衝動買いもたいていの場合は消費です。
消費と投資の区分という概念があると、お金を使うたびに、「これは消費なのか?それとも投資なのか?」と考えることになります。
子供のいる家庭の場合、習い事などへの支出は子供ための投資として、惜しみなく使ってしまいますが、もしかすると、親の満足のために支出している部分もあるかもしれません。そうであれば、たとえ教育に関する支出であっても実は消費になっている可能性も十分にありますから、ここはもう一度、冷静になって自身に問いかけてみる必要があるでしょう。
教育への支出と並んで、多くの人を悩ませるのが他人へのプレゼントです。
プレゼントは他人に渡ってしまいますから、自分には何も残りません。したがって、いろいろな支出の中でも、もっともムダになってしまう可能性が高い項目のひとつといってよいでしょう。
そうだとするならば、お中元やお歳暮なども含め、他人へのプレゼントは極力控えた方がよいという結論になります。しかしながら、ムダになる可能性が高い支出であるが故に逆の考え方もできます。その支出をムダにしないためにも、プレゼントを贈る必要がある場合には、相手が喜ぶという形で、自分にメリットが返ってこなければ意味がありません。
プレゼントへの支出はできるだけ控えるものの、いざプレゼントするという場合には、絶対に相手が喜ぶことが確信できるくらいまで、ケチらずにお金をかけることが重要です。日常的にこうしたメリハリを付けるトレーニングをしていれば、確実にそのスキルは上達してくるでしょう。
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