2.5次元ミュージカルの先駆け「テニミュ」始動


03年にはじまったミュージカル『テニスの王子様』もスポーツ・グループ男子もの。これがやがて【2.5次元】と呼ばれるジャンルに育っていきます。これまた、たくさんの若手男子の登竜門になり、05年には斎藤工も出演しています。斎藤工はメンノン・モデルもやっていて、登竜門顔出し率が高いのですが、彼についても次回。04年になるとワタナベエンターテインメントの若手を集めた俳優集団D-BOYSが結成され、演劇活動をはじめます。

演劇といえば、演出家の蜷川幸雄は彩の国さいたま芸術劇場でオールメールシリーズという、シェイクスピアの時代にそうだったように女性役も男性が演じる企画を立ち上げ、若い俳優を次々抜擢しはじめました。
今思うと、巨匠は女子的流行にとても敏感だったことがよくわかります。最初の作品が、成宮寛貴と小栗旬の『お気に召すまま』です。巻き毛のお姫様をやった成宮の艶やかさと彼の恋人役の小栗のマントの似合う王子様感がどハマリで話題になりました。成宮は、<黎明期>の「フェミ男」をやや継いだユニセックスの魅力があり女性役も似合っていました。

【平成イケメン30年史】〈’00年〜’09年最盛期〉イケメンという言葉が生まれた時代を彩ったのは誰?_img0
蜷川幸雄芸術監督の彩の国シェイクスピア・シリーズ。成宮寛貴・小栗旬が出演の「お気に召すまま」と北村一輝・姜暢雄・窪塚俊介が出演の「恋の骨折り損」を収録した『NINAGAWA×SHAKESPEARE IV』(DVD BOX)

振り返ると、イケメン黎明期は、木村拓哉、福山雅治、豊川悦司など、ピンでドラマ(主にラブストーリー)を牽引する力のあるスター然とした人物の時代でしたが、00年代に入ると、バブルもとっくにはじけ、経済的にも勢いがなくなってきた時代、圧倒的なカリスマは少なくなり、代わって、クラスや職場にもいそうな(実際はいないのだけれど)少しだけ身近に感じられるイケメンの時代になります。ドラマも映画も舞台も、ちょっといい感じの男子が複数出てきて、よりどりみどりというスタイルの作品が増えていきました。このグループで切磋琢磨していくスタイルは本来、ジャニーズ事務所が昔から行っていたわけですが、固定グループを作るのではなく、あくまで作品のなかでグループものが増えたということです。