福田作品は「イケメンの無駄遣い」ではない!?


笑いをもうひとつの武器にと考える俳優は多いようで、多くのイケメンたちは、福田塾とも言えそうな福田雄一監督映画や演出舞台に出て、全身で笑いを表現する術を体得していきます。岡田将生、賀来賢人、菅田将暉、山崎賢人、吉沢亮などが福田塾(そんなのは実際はないですが)で笑いを学んでいます。大ヒットした映画『銀魂』の続編『銀魂2〜掟は破るためにこそある』のキャッチコピーは「イケメンの無駄遣い」。無駄遣いどころかイケメンの生き残りをかけた虎の穴のようにも思えます。
10年、映画『君に届け』で多部未華子演じるヒロインの相手役をつとめた三浦春馬もドラマ『オトナ高校』(17年)でぶっ飛んだコメディに挑み、コマを進めました。


【スイーツ映画系】のキラキラ男子


さて、こんなふうに脱イケメン活動が行われる一方、イケメンブームは【スイーツ】と呼ばれる恋愛及び青春映画を流行させます。『君に届け』もそのひとつ。「キネマ旬報」17年1月下旬号では「キラキラ青春映画」特集が組まれ、それを読むと、05年の『NANA』にはじまって、10年までは年に数本だったキラキラ青春映画が、15年9本、16年12本、17年14本と増加の一途をたどっていることがわかります。ここでは山崎賢人や、四代目ビューネくんの竹内涼真が大活躍。イケメンによる「壁ドン」というアクションが大流行しました。
18年になるとちょっとこの手の映画の本数が減ってきていますが、脱イケメンしていた山田孝之の『50回目のファーストキス』があることが笑えます(しかも福田雄一監督作)。
エグザイルの岩田剛典は、『植物図鑑〜運命の恋、ひろいました〜』(16年)、『パーフェクトワールド〜君といた奇跡〜』(18年)などで、ふだんは温厚、でもポテンシャルは高く、やるときはやる柴犬系男子としてキラキラしています。


グループ男子の超アップデート版「HiGH&LOW」シリーズ


その一方で、15年からはじまった、エグザイルメンバー大集合の「HiGH&LOW」シリーズにも参加。こちらでは闘犬っぽさをふりまきます。このシリーズも大人気、チームに分かれた男たちの愛憎絡まる戦いが描かれたこのシリーズは、イケメン(グループ男子)ブームの先駆けとなったドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(00年)やブレイクポイントとなった映画『クローズZERO』(07年)などの超アップデート版といってもいいでしょう。女子的には、優しいイケメンも素敵だし、戦うイケメンも素敵という、どちらの欲望も満たしてもらえる状況が用意されてきたのがこの10年の傾向です。