消費税と並ぶもう一つのイベントは4月に予定されている働き方改革関連法の施行です。日本の職場の労働生産性は低く、これが長時間労働の温床になっていると指摘されてきました。こうした状況を是正するため、働き方改革関連法が国会で成立し、今年の4月から大企業に限定して施行されます(中小企業への施行は来年)。
この法律が施行されると、これまで事実上、無制限に近い状況だった残業時間が厳しく制限されることになります。法律は罰則規定付きですから、以前のようにサービス残業を従業員に無理強いすることはほぼ不可能となるでしょう。これは非常に喜ばしいことなのですが、問題は社員の年収です。
これまで長時間残業込みで、必要な年収を確保してきたサラリーマンも多く、残業が一律に禁止されてしまうと、年収が大きく下がる人が続出します。すでに一部の企業は残業時間の規制を行っており、毎月の給料がガクっと減ったという人も多いのではないでしょうか。
働き方改革関連法の本来の趣旨は、業務のムダを見直して生産性を向上させることにあります。しかし多くの企業では、業務の見直しという面倒な課題は避け、一律に残業時間を削減するというかなり乱暴な対策を行っています。そうなると生産性は拡大しませんから、給料を上げることができず、残業時間を削減した分だけ年収が減ってしまうわけです。
4月に法律が施行されるとすぐにゴールデンウィーク(GW)がやってきます。今回のGWは長く、しかも皇太子さまの即位もありますから、お祭りムード一色となるでしょう。GWが終わると夏のバカンス・シーズンですから、GWに続いて旅行の計画などで気持ちは前向きです。
多くの人が、残業代の削減によって懐が寂しくなったことを強く実感するのは、秋に入った頃でしょう。最悪なことに、消費税の増税はこのタイミングでやってきます。年末は何かと出費が多くなりますから、人によってはお金のことばかり考える年末となるかもしれません。
年が明けたばかりで、少し先の話で申し訳ありませんが、今年はこのようなスケジュールになっています。お金に苦労せずに2019年を過ごすには、年の前半から対策を講じておくことが重要です。まずは4月以降、職場の残業がどうなるのか、会社に確認してください。もし残業代が減りそうなら、バカンスの計画や大きな買い物については、少し見直した方がよいでしょう。
残業代の抑制や消費税といった逆風が続きますから、消費にはマイナスの影響が大きいと考えられます。日本はここ数年、米国の好景気に支えられて、まずまずの経済状況でしたが、一部の専門家は、米中貿易戦争の長期化によって景気が下り坂に入ると予想しています。米国の景気が踊り場に差し掛かった場合、もっとも影響を受けるのは日本です。
これは米国と中国の問題ですので、わたしたちに何かができるという話ではありませんが、もし世界景気が鈍化するようなら、今年の後半は景気が大きく落ち込むことになるでしょう。ある程度は、厳しい状況について、覚悟しておいた方がよいかもしれません。
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