皆さんにとって2018年はどんな年だったでしょうか。国内の景気は、まずまずの状況で推移しましたが、日本社会が大きな転換点を迎えていることを感じさせる出来事も相次ぎました。2018年を簡単に振り返ってみましょう。

もっとも目についたのは、日本大学のアメフト選手による危険タックルの問題や、レスリングの伊調選手へのパワハラ問題、財務省トップのセクハラ問題など、いわゆる前時代的な価値観や行動が否定されるという出来事です。

 

これらの話は、各界固有の問題にとどまるものではありません。日本人の生き方そのものに直結した問題であり、根本的な価値観の転換が迫られていると考えるべきでしょう。これは加害者はもちろんのこと、被害者にとっても同じことを意味しています。声を上げる勇気が必要ですし、それは一種の義務でもあります。

一連の古い価値観は、俗に「昭和的な考え方」などと言われますが、平成も終わろうというタイミングで、これらの諸問題が一気に噴出したというのは非常に興味深いことだと筆者は考えます。昭和的な価値観の脱却に、平成の30年間をまるまる費やしてしまったわけですが、次の元号がやってくる前にメドを付けることができたことについては、むしろポジティブに捉えた方がよいでしょう。(関連記事:「セクハラの蔓延は、日本のグローバル化の遅れが原因だった」

社会の転換点といえば、事実上の移民政策である改正入管法が国会で可決、成立したことも重要な出来事のひとつです。

企業の現場では人手不足が深刻となっており、安倍政権は財界からの強い要請を受け、外国人労働者の大量受け入れに舵を切りました。外国人労働者の受け入れについては賛否両論がありますが、この政策の最大の問題点は政府が移民政策であると明確に位置付けていないことです。

法律はあくまで労働者の受け入れに限定したものですが、長期間にわたって大量の外国人労働者を受け入れた場合、彼等の多くは日本社会に定着し、一部は結婚するなど家庭を持つことになりますから、事実上の移民化が進むことになります。多くの識者がこの法律は移民政策であると指摘しているのはこうした理由からです。

移民として彼等が日本社会の一員になる以上、彼等には日本の習慣に馴染んでもらう必要がありますし、受け入れる日本社会の側も、彼等を差別することがないよう、十分に配慮しなければなりません。

法律はすでに成立しているわけですから、今後、多くの外国人と共存していくことは確定的です。文化が違えばいろいろなトラブルが発生するのは当然のことですから、私たちにはそれを乗り越える努力が求められます。

経済面では米国と中国が貿易戦争に突入するという衝撃的なニュースもありました。経済学の理屈では、輸入品に高い関税を課すことは、輸出する側にとっても輸入する側にとってもメリットがなく、景気には確実にマイナスの影響が及びます。

年末に入って米中は一時休戦となりましたが、2019年に再び交渉が行われ、よい結果が得られなければ、貿易戦争がさらに悪化する可能性もあります。今のところ米国の景気は堅調ですが、貿易戦争が続いた場合、米国経済はいつ失速してもおかしくありません。

米中の景気が悪くなると、米国、中国ともに損をしますが、もっとも大きな影響を受けるのは貿易立国の日本です。日本人にとって極めて影響が大きい話ですから、今後の米中関係には常に注意が必要でしょう。

 
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