「45歳から白髪に。大切なのは、清潔感と品格」グレイヘアの先駆者・飯野晴子さん
2018年の流行語大賞にノミネートされたこともあり、認知度が一気に高まった「グレイヘア」。「どう染める?」「どう隠す?」から「染めない方法」「白髪を生かしたスタイル」へと移行する女性が増えており、テレビや雑誌でもグレイヘアの特集が数多く組まれるようになりました。
今回はグレイヘアの先駆けであり、「チーム ソルトン セサミ」のメンバーである飯野晴子さんにグレイヘアのお手入れ法をうかがいました。
黒と白の“ごま塩”ヘアから名付けられた
「チーム ソルトン セサミ」
「チーム ソルトン セサミ」は、歌手の中尾ミエさん、国際コーディネーターの加藤タキさん、元イッセイミヤケ副社長の小室知子さんと私の4人で2007年に結成しました。それぞれのステージで活躍されている方々ですが、一緒に「何かしよう」と話が進み、チャリティ活動を定期的に行っています。
この「チーム ソルトン セサミ」の名前ですが、名付け親は私の娘なんです。4人のトレードマークである“ごま塩”ヘアを英語に訳したのがきっかけです。結成したときの年齢が60を超えているわけですから、髪に白いモノがあったとしても不思議ではないですし、「白髪があってもいいじゃない」という考えをそれぞれが持っていたので、自然となるべくしてなった名前なのかな、と感じています。
最近は流行語大賞の影響か、チャリティー活動よりもグレイヘアの取材を受けることの方が多いかもしれませんね(笑)。
このように時を経てグレイヘアが世の中に認知されるようになったのは、本当に嬉しい限り。私自身、白髪が目立つようになったのは45歳くらいからでした。頭頂部の髪の分け目やアホ毛が白髪だと、悪目立ちますよね。「これを何とかしなければ!」と。
仕事で海外に行くと、ブリーチやメッシュを入れたおしゃれなヘアスタイルが目に飛び込んでくるわけ。聞くと、自宅で簡単にブリーチやメッシュを入れられる“フロスティングセット”が手に入るでしょ。価格も10ドル〜15ドルくらいで購入できたので、海外へ行くたびに購入して持ち帰っていました。
海外で購入していたブリーチキット
50代は「いかに白髪を目立たなくさせるか」の対策を練っていましたね。
60代になると白髪と黒髪の量が反転。白髪が多くなってきたので、メッシュもブリーチも止めました。それからは一度も染めていません。
白髪になっても周りのネガティブな反応はなく、その後、「チーム ソルトン セサミ」が結成されましたが、白髪を批判するような方や意見もなかったですね。
行きつけのヘアサロン、ヘアケア製品……
「プロ」の手を借りる大切さ
先日、テレビ番組の取材があって、髪質を調べる機会をいただきました。健康な髪の指標となるキューティクルの数値を測ったのですが、私の髪は20代の女の子たちと同じ数値だったというのです。
この時、「毎日のお手入れは決して裏切らない」と確信しました。白髪が目立つようになってからヘアケアの必要性は誰よりも感じていましたので、友人、知人から髪に良い情報を教えてもらったり、製品は片っ端から試していました。「素髪を健康に育む」こと、この一言につきますね。
その手段として、「プロ」の手を借りることもひとつ。私のグレイヘアの良き理解者、表参道にあるヘアサロン「THE GLOBES(グローブス)」のスタイリスト・森泉謙治さんは、かれこれ10年以上の付き合いになります。素髪の大切さを教えてくださったのも、そして髪が本当に健康になったのも彼のおかげ。全幅の信頼を寄せています。今は2ヶ月に1度のペースでトリートメントを行っていますが、この時間は私の癒やしになっています。
飯野さんのグレイヘアのホームケア方法
不定期ですが、我が家でワークショップを開催していて、そこで知り合いになった方がオーガニックのヘアケアブランド「piyoko」の製品開発をされていたんです。試しに使ってみると使い心地も良く、私の髪に合っていたので愛用しています。
頭皮ケアは欠かさず行っています。2ヶ月に1度のヘアトリートメントの他に、ホームケアにも力を入れています。資生堂プロフェッショナル「アデノバイタル アドバンスト スカルプ エッセンス」は、前髪や頭頂部が薄くなっている時に使うと効果的。
誰にすすめられたわけでもなく、自己流なのですが、週に1度はシャンプーをしない日を作っています。
グレイヘアは
おしゃれに前向きになれる
白髪の分量が多くなるにつれ、気をつけるようになったのは「清潔感」と「品格」。
髪の量は以前から多い方でしたが、歳を重ねると髪が細くなり、量が減るでしょう。髪がヘタっているだけで、疲れや老けた印象に見られがち。ですから、顔まわりが華やかになるよう心掛けています。
ボリューム感のあるキラキラしたカチューシャはアクセントにもなりますし、顔まわりも華やかになり、重宝しています。TPOに合わせて選んでいます。
他には、アイメイクを意識して行うようになりました。老け感が出ないように、上下ともにラインを入れて目ヂカラをつけています。「マジョリカマジョルカ」や「キャンメイク」などのペンシルアイライナーは優秀ですね。
それから、「トムフォード」の口紅はミセスに似合うおすすめのアイテム。ひと塗りでトレンドのセミマットの唇に。上品に仕上がるのでシーズン毎に新色をチェックしています。
「白髪が目立ち始めると気が重い」と言う女性もいるでしょう。確かに私もそう感じた頃がありました。でもね、今の自分がとても好きなんです。この髪色も、スタイルも。見た目の変化もありのまま受け入れて、年を重ねる素晴らしさを皆さんにも感じて欲しいですね。
取材・文/長谷川真弓
構成/片岡千晶(編集部)
第1回「ブームの仕掛け人に聞く、「グレイヘア」という言葉が生まれた意外な事情」はこちら>>
第2回「28歳から白髪に……加藤タキさん「試行錯誤を経てたどりついたグレイヘアの答え」」はこちら>>
Comment