香港にいた時の仕事仲間達とは、今でも必ず集まります

2019年、亥年。私もいよいよ60歳です。
これまでを振り返ってみると、仕事をしていた時間が一番長くなります。

皆さんも年明けでまた会社に戻り、いろいろ考えることがあると思います。
20代で仕事を始めた頃は、私自身の自己評価が最大に高いときでした。
「自分がいなければ会社は回らない」と、本当に思っていました。
30代になってやっと、「自分の代わりはたくさんいるし、私がいなくても会社は回るし、私のやり方 でなくてももっと違った方法がたくさんある」と納得するようになりました。
そして40代から、シニアヴァイスプレジデント、エグゼクティブと呼ばれる役職に就くと、自分の仕事に会社のマネージメントが加わりました。

フレンチヴォーグ時代、コレクション中の移動
大変だった北京のオフィスオープン。そのときのスタッフと

特に40歳からは、ヘッドハンティングによって会社を変わっていきました。
新しい会社に出社する初日は、大事なイベントのようなものです。
最初の印象が何より肝心。
早朝のジムでのワークアウトを終えて、シャワーを浴びて、メイクアップ、ヘアを整えて、いつもより少し華やかな膝丈のワンピースの上にテーラードジャケットを羽織って、ハイヒールを履いて出かけます。
もちろん新しい仕事場の部屋用に、家族の写真、お気に入りのランプ、花瓶、当時はバランスボールに座っていたのでそれも持って。

オフィスに欠かせない私の和みは花。これを見ていれば嫌なことも雑音に聞こえます

そして、初日のスタッフへのスピーチも肝心です。基本的に毎回言っていたのは以下の6点。

1)
これからはあなたのeメールをはじめとして、社外の人に対して使う言葉は全て「WE」。「I」ではない。ここはそれぞれ選ばれて仕事をするために集まったプロフェッショナルチームで、仕事をする場所である。

2)
あなた方の成功はあなた方の成功で、あなた方の失敗は全て私の失敗であるから、すべて念入りに意見を重ねて、最高のプランで失敗を恐れず仕事をする。

3)
あなた方の成功は報酬、休日であって、その報酬や休日を確保するのが私の役目。そしてその成功を得たければ、自分なりに真剣に働く。それは自分のキャリアアップでもある。

4)
すでにその役目にあった報酬で雇われているわけであるから、ここは学校ではなく、私は先生ではないので、私から何かを教えてもらうのではなく、自分のキャリアに役立つと思ったら、そのやり方を 盗むものである。

5)
あとはすべてあなた次第。エキサイティングな朝を迎えて、会社を行きたい場所にするのもすべてあなた次第。チームで楽しく仕事をするのもあなた次第。嫌なボス(私のこと)とそれなりに渡り合うのもあなた次第。

6)
仕事はスポーツと同じ。やっているときは苦しいが、やり終えたあとの爽快感は変えがたいものがある。

私は「どうしてもこの仕事がしたいから、そのために勉強する」といったようなタイプではなく、学校で専攻したものとは違った道に、なんとなく成り行きで、そのまま進んできたタイプである。
もちろん、やりたいことがはっきりしていることに越したことはないが、なんとなく私のように与えられたことをやり通すタイプがいてもいいと思う。

ブシュロンにて、イベントの終わった後にスタッフと
多分、仕事で一番通ったお店は、パリのCavier Kaspia。PRチームと一緒に
 
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