華奢な身体で部屋をあちこち飛び回り、か細い声でニコニコ微笑むこんまりさんの姿は、「お片づけの妖精」さながら。ソフトな口調なのに鬼軍曹のように容赦なく依頼者家族に断捨離を要求していくどSキャラとのギャップも視聴者たちを痺れさせている様子。お片づけの妖精、「こんまり」のキャラが確立されていてお見事!
こんまりさんは通訳者を介していて、あえて日本語を貫いているところにも「このやり方があったか!」と思わせられます。海外進出って英語ができないとダメ、みたいな今までの思い込みすら払拭してしまう「Konmari」。それどころか日本語で話していることによって日本人であるこんまりさんのエキゾティックで神秘的なオーラが増してさらに知的に見えている気が…。
お片づけを始める前には必ず「おうちにご挨拶する」という儀式があり、こんまりさんが正座をして目を瞑り、依頼者のおうちに心の中で語りかけます。このとき胡散臭そうにニヤニヤと眺めている依頼者も居れば、「家に話しかけるなんて初めて」と感動して涙を流す依頼者も。そう、ここからこんまりメソッドの魔法はスタートしているのです。
あとは依頼者自身により、「Spark Joy」かどうかによってこんまりメソッドの鬼の仕分けがされていくのですが、いちばん最初に仕分けされる洋服は必ず全部一箇所に集めて出して片づける、というのが鉄則。これにより、自分がどれくらいの量の洋服を持っているのかというのを目で確認するのが重要なんだとか。ここでたいてい女性陣は「私ってこんなに洋服を買い溜めて無駄なものを持っていたのね」という事実に愕然とします。
―前々から思っていたのですが、特にクローゼットの断捨離って「人生の棚降ろし」効果がすごくありますよね。洋服って自分が他人からどう見られたいかとか、そのときの価値観や環境などが顕著に現れる持ち物。だからこそ、ここから始めることに意味があるのかなあと。
ちなみに仕分けの際は物に実際触ってときめくかどうかを判断した上、捨てる際にも邪険に扱うとこんまり鬼軍曹に「優しくしてくださいね」と笑顔で注意されます。―そう。これは単なるお片づけではなく、「人生をときめかせるための儀式」。
だからこそ、「Konmari」が進むと、家族に笑顔が増えていく。そして「Konmari」ったあとには、家庭が以前よりもときめく素敵な場所になる。
鑑賞後には家にも家族にも『劇的ビフォーアフター』のリフォーム後のような変化が現れ、観ている側もスッキリとした気持ちに。それとこれは恐らくみなさんそうだと思うのですが、観ていると「私の部屋は果たしてときめくものに囲まれているのだろうか?」と自問自答したくなり、自分の部屋も片づけたくてうずうずして来ます。
それともうひとつ、この番組が人気の要因として「普段は見られない、他人の家庭の散らかった様子」を覗き見している感覚が得られることも大きいと思います。よそのおうちにお邪魔しても、ぐちゃぐちゃのクローゼットの中まではあまり見られないけど、この番組では人が持つ、その密かな野次馬根性が堂々と満たされてしまうのであります(笑)。
そんなこんまりさんの自己プロデュース能力の高さとお片づけの重要性を知れる『KonMari〜人生がときめく片づけの魔法〜』、観出したらハマること請け合いなのでございます。
それにしても、こんなオリジナルコンテンツを作れるNetflixはやはりすごい。だって英語タイトルは『Tyding Up with Marie Kondo』。「近藤麻理恵と一緒にお片づけ」ですよ? アメリカでのこんまり人気があったとしても、この企画をここまでのブームにしてしまうプロデュース能力は驚異です。
有料契約者数が1億3千万人と言われるNetflixは、もはや現代社会の必須インフラとも呼べるくらいに、なくてはならないエンタメコンテンツになりつつあります。無料で観られるYouTubeがあるのにこれだけの契約者が居るということ自体が質の高いプログラムを提供出来ている証し。アメリカでは最近月々の契約料が値上げされたそうだけど、Netflixアディクトたちはそれでもきっと継続してしまうんだろうな〜〜。こんまりさんやNetflixには、以前大森編集長が記事でも取り上げていた「働き方改革」が求められる時代に私たちも見習うべき、新しい社会を乗り切るためのプロデュース能力のヒントが詰まっているなと思わされました。
奇しくもこれを書いている1月21日はスーパーブラッドウルフムーンの満月。mi-molletで連載している占星術家のKeikoさんのブログでも「これからの時代、一般人でもセルフブランディング能力は必要」と書いてありました。2019年から自分がどんな風に見られたいか、どんな分野で成功していきたいのかを、私も真剣に考えてみようかと思います。
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