スタイリスト、ミモレコンセプトディレクターの大草直子が着こなしのアイデアや日々の思いを綴ります。

またまたインスパイアリングだったパリ出張を終えて、そのまま撮影や打ち合わせなどの怒涛の日々に突入し。泥のように眠った土曜日が終わろうとするとき、末っ子マヤのピアノの発表会の服がないことに気付きました。8歳が、昨年末から始めたピアノレッスン。もちろん私は日常の練習には付き合えないし、レッスンにも行かれない。「自分で全て責任をもつなら良いよ」と言い渡し、「やるやる!」とワクワクしながら毎日を過ごし、2月の初発表会を楽しみにしている彼女。「やっぱり始めて良かったねえ」と思っていたのですが――。初めての発表会! 私、随分前に福岡でのイベントが入ってる~~~~。

実は、こういったことは今までもたくさんあって。
長女が6歳で習い始めたスイミングは、レッスン初日も行かれず。「とにかく受付のお姉さんに、更衣室やらいろいろ聞きなさい。教えてくれるから」と私。結果今でもお付き合いがあるくらい、長女は皆さんに良くして頂き、6年生まで続けることになったのですが。

長男が幼稚園、小学校低学年の時は、忙しさはマックス。園や学校の行事は、年に2度くらいしか行かれず。保護者参観などは、祖母と夫に行ってもらっていました。

そして、末っ子のマヤ。彼女がピアノレッスンをスタートさせる前から入っていたイベントだったから、無理だよねえ。こういうとき、私は気づいたときにすぐには言わず。夫、長女の日南子、祖父母の日程を確認し、アポをとり。4人が当日行ってくれることを確認してから、「おそらく、仕事で行かれないと思う」と言います。最初は「え?」となるのですが、時間をかけて、「ドレスは一緒に選ぼう」「当日の髪の毛は日南ちゃんがやってくれるよ」と、安心を1つ1つ積み重ねていくようにしています。

ということで、日曜日は伊勢丹へ、「衣装」を選びに。まだまだ指運びもおぼつかない中での発表会ですが、当日欠席の母からのエールを込めるべく、セールで真っ赤なスカートを購入しました。

3人公平(!?)に、学校、プライベートの行事やイベントにほとんど参加できない、働く母。本人ももちろん思うところはあるのでしょうが、それは私も同じ。

できないことを嘆いてもしょうがないので、イベント当日までの楽しみを一緒に数えたり、ほんの少し(たとえ30分でも)スタバでお茶をしたり。

できることをできるだけ。

それでも子供たちは大きくなり、たくさんの人たちの愛情と手を借りながら、なんとかやっています。

そうそう。たいてい、コラムは公開日のその日の朝に、早起きして書くことが多いのですが。バタバタした数週間を終え、初めてゆっくり座ってお茶を飲みながら、日曜日の夜に書いてみました。

子供たちや親、パートナーや兄弟、友人たちや仕事仲間。日曜日は、「いつもいつも時間がないからと、ちょっぴり甘えている大事な人たち」のことを思い出すタイミングかもしれませんね。

大草 直子

ホーローのティーポットは、今回のパリで。スモーキーグレーが、我が家の食器棚ワードローブにぴったりです。
私がダイニングでコラムを書いている間、夫は「ベッドに入るタイミングを一緒にすべく」、リビングに。ピスタチオグリーンのソファに、きれいなシルバーヘアが映えます(笑)。