少し体調が悪いと、「何か悪い病気では?」と不安になったり、「今の幸せは長くは続かないのでは……?」とまで考えてしまったり。年齢を重ねると、そんなふうに心配事と上手く付き合えないことも増えてくるものです。そんなとき私たちはポジティブな方向に気持ちを向けようとしますが、コラムニストの石原壮一郎さんは、逆転の発想で解決法を提案しています!
humihumiさんからの質問
Q. 少しでも不調があると
「今の幸せは長く続かないのではないか」と過剰に不安に……。
拙い文章で失礼します。38歳の専業主婦です。慢性甲状腺炎(橋本病)を患っていますが、服薬で何事もなく過ごしています。優しい夫とかわいい子どもたちと、のんびり不自由なく幸せに暮らしていますが、「この幸せがずっと続くように」と過剰に祈るばかりか、逆に様々な(主に健康に関する)不安で押しつぶされそうになります。たとえば「持病のせいで短命になるのでは」とか、健康診断の結果で数値が悪ければ「何か病気になったのかも」とか、ふと指先が動かしにくいような気がして「悪い病では」とか。そして、子どもたちが大きくなるのを見届けられないのではないか、この幸せは長くは続かないのではないか、と不安が襲います。どうすればこのような不安から解放されますか? 不安を解消するために毎年健康診断を受けたり、気掛かりな症状は病院を受診したり。しかし次から次へと気掛かりは増え、考え出すと動悸がします。幸せだけを噛み締めたいのですが、なかなか上手く気持ちが落ち着かない私にアドバイスをお願いします。
特別ゲスト 石原壮一郎さんの回答
A. 自分より弱い人、苦しんでいる人に目を向ければ
「守らなければ」という張り合いが生まれるかもしれません。
少々手厳しいことを言ってしまいますが、humihumiさんはおそらく幸せで満たされ過ぎているから、張り合いがなくなっているのではないでしょうか? 夫も優しい、子供もかわいい。何も悩むことがないため、健康を心配することで、自ら張り合いを作り出しているのではないかと……。ですから、新たな張り合いが見つかれば、今のように過剰に健康不安に陥ることもなくなるのではないかと思います。
ただしそれが趣味や習い事だと、別に続けなくても誰にも迷惑がかかりませんから、張り合いを持ちにくい可能性があります。そこで、何かボランティア活動に参加されるのはいかがでしょうか? 自分より弱い人、苦しんでいる人を見ると、「自分より苦しんでいる人がいっぱいいるのに」と自分のことを心配するのをやめるかもしれませんし、自分より弱い人たちを守らなければと張り合いが生まれ、自分の不調があまり気にならなくなるかもしれません。「幸せだけを噛み締めたい」とのことですが、むしろ今持っていらっしゃる幸せに目を向けるより、「私よりリスクの大きい人がいっぱいいる」という、悲劇的な状況のほうに目を向けたほうが、気持ちの切り替えはできるような気がするのです。少々不謹慎な提案かもしれませんが……。
ただ、「今の幸せは長くは続かないのではないか」という不安は、あながち気にし過ぎというわけではないとも思います。可愛い子供たちもいずれは親元から巣立っていきますし、humihumiさんだってご主人だって、いつかは亡くなります。どんなに悩んでもそれは止められないことだからこそ、「私は自分の人生を生き切った。いつ死んでも悔いはない」という自己実現ツールを見つけることが大切だと思うのです。是非、じっくりと考えて探されてほしいと思います!
- 石原 壮一郎(いしはらそういちろう)1963年生まれ。コラムニスト。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、『大人の女養成講座』、『大人力検定』、『大人の合コン力検定』など大人をテーマにした著書を発表し続けている。近著に『9割の会社はバカ:社長があなたに知られたくない「サラリーマン護身術」』(飛鳥新社)、『本当に必要とされる最強マナー』(日本文芸社)、『大人の人間関係』(日本文芸社)などがある。 この人の回答一覧を見る
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