昨年のNHK紅白歌合戦では、大トリを務めるサザンオールスターズの桑田佳祐さんに、松任谷由実さんがキスをするというサプライズで、感動のフィナーレとなりましたが、これは非常に好対照な出来事だと思います。

桑田さんは現在62歳、ユーミンは65歳ですが、二人とも昭和の時代から平成までずっとトップを走り続けてきました。二人が40歳前後だった1990年代前半においては、今後の生き方について、あれこれ模索する時間も、その必要性もなかったでしょう。おそらくですがサザンもユーミンも、体力が続く限り、今のスタイルを崩さず、トップスターとして人生を終える可能性が高いと考えられます。

嵐や安室さんの身の処し方が時代の変化を反映しているのだとすると、私たちにとっても、この話は無関係ではありません。実際、寿命100年時代においては、同じ会社で同じメンバーと同じ仕事を続け、ある年齢が来たら引退するという、昭和型のライフプランは現実にそぐわなくなっています。

嵐・安室から考える「40歳からの人生再構築論」_img0
 

60歳で現役引退し、その後は、あまり長生きしないという時代においては、従来型システムは非常にうまく機能していました。しかし、長寿化や高齢化が進めば、従来の社会保障制度を維持できないのは明白であり、多くの人が生涯労働に移行することになります。

この現実を考えた時、昭和型ライフスタイルの見直しは、ほぼ必須といってよいでしょう。

嵐や安室さんと同様、40歳前後を節目として、人生を前半戦と後半戦に分け、後半戦のライフスタイルについては、前半戦と切り離して再構築した方がよいと筆者は考えます。

仕事バリバリの人は、そのまま会社で昇進を目指してもよいですが、プライベートを充実させたいと考える人もいるでしょう。長く継続できるという点を重視し、好きなことを仕事にしていくという選択肢もありますし、とにかく将来に備えるため、副業に取り組み、稼ぎを増やしたいという人もいるでしょう。

大事なのは、自分は後半の人生において、何を重視したいのかという点です。

若いときは、漠然とした目標や夢でもよかったわけですが、さすがに後半戦はそうはいきません。自分にとってもっとも大事なものは何かということさえ分かれば、ある程度の方向性は見えてくるはずです。

 
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