「副業を認める企業は全体の5割超」――経団連が初めて実施した意識調査でこんな結果が明らかになりました(2/5付の日経新聞記事より)。これは経団連が初めて大手企業向けに実施した調査で、「現在副業を認めている企業」が全体の2割、「認める方向で検討する企業」が全体の3割強にのぼったと言います。
私が理事をしている一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が昨年発表した「フリーランス白書2018」によれば、「会社員の4割以上が副業に意欲的で、その割合は転職よりも多い」という結果が出ています。世の中はまさに「副業ブーム」。私も興味ある……そんな方も多いのではないでしょうか?
実際、私のもとにも「副業に興味関心があるけれど、何から始めたらいいかわからない」「どうやって副業の仕事を見つけたらいいか」など、副業に関する相談が昨年あたりから増えてきました。
そんなときに私がお伝えしているポイントが2つあります。
一つは「『収入を増やしたいから副業を始める』はやめてください」ということ。
「え?副業するなら当然、収入増やしたいんですけど……?」
そう思った方もきっといますよね。
大事なのは順序です。「お金」が目的化すると副業ってうまくいかない場合が多いですよ、ということをお伝えしたいんです。同じように「人脈がほしい」が先にきてしまうのもイマイチですし、「周りがやっているのでなんとなく」のような「無目的タイプ」もはっきり言ってやめておいたほうがいいです。
副業ってもちろんバラ色ではなくて、大変なことがけっこうあります。例えば時間のやりくり。みなさん、当然、本業がありますので、本業の合間をぬって副業をするわけです。完全フレックスの会社さんなら別ですが、就業後や週末の時間を使って副業をする方も多いです。優先順位のつけ方や、実際のタイムマネジメントなど、気を付けなければいけない点がありますし、家族との時間や休息時間、学びの時間など副業以外の時間の確保も同時に気を配らなければいけません。
しかもお金をもらって仕事する以上、発注側はプロとしての成果を求めます。本人にとっては「主」ではなく「副」で、すきま時間の仕事とは言っても、相手の期待値以上のものをアウトプットしなければトラブルのもとですし、次回以降の発注はないと思ったほうがいいです。これはなかなか緊張感があります。
ですから、「お金」や「人脈」が目的で副業を始めると、「意外に大変……」ということで長続きしないケースが多いですし、はっきりした目的のないままに「なんとなく」始めてしまうとなおさら……というわけです。
私がおすすめしているのは、あくまで「好きなこと」「得意なこと」をベースに副業を始めること。
普段は会社員として事務系の仕事をしているのだけれど、「子どもが好き」「そういえば大学時代に保育士の資格を取った」ということで空き時間にベビーシッターの副業をするなんていうのはアリですね。また、「家事が好き」「料理が好き」ということで会社員のかたわら家事代行の副業をしている女性とお会いしたこともあります。
本業を深める形での副業もおすすめです。例えば、普段、広報の仕事をしているのでその知見とネットワークを生かして別の企業や団体の広報業務を手伝うといった形です。
「好きなこと」や「得意なこと」であれば、時間管理や納品に対するプレッシャーがあったとしても「やりぬく」ことができます。その結果として、お金(副収入)や人脈がついてきたら言うことなしですよね。
ですから、順序としてはあくまで「好き(得意)」が先。お金や人脈は結果としてついてくる、ということをぜひ意識していただきたいです。
そして、もう一つお伝えしているのは「『副業疲れ』にご注意を!」ということ。先ほどお伝えしたように副業の王道パターンは「好き」「得意」を追求すること。好きで得意だからこそやっていて楽しいし、幸せ。だからこそ、「ついやりすぎてしまう」という人がいます。「副業疲れ」「パラキャリ疲れ」に陥ってしまうわけです。
これは明らかに問題です。ですから時折立ち止まって「いま、副業をしている状態を楽しめているかな?」と自分に問いかけてほしいのです。副業で疲れて本業に支障が出たら元も子もありません。あくまで「楽しめる」範囲で副業をするのがおすすめ。「楽しめない」「疲れた」と感じたら副業をやめてみるのも手。副業ができるのは心と体の状態が万全であればこそ。そうでないなら無理する必要はありません。
私はすべての人に副業が向くとは思いません。なぜなら先ほどお話ししたようにそれなりにストレスやプレッシャー(よい意味もふくめて)がかかるスタイルであることは明らかなので。だからこそ無理せず今の生活に取り入れていってほしいと思います。
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