いよいよ今年のアカデミー賞授賞式が、日本時間25日8時半から行われます。先日、9部門10ノミネートされているヨルゴス・ランティモス監督の映画『女王陛下のお気に入り』を観に行って参りました。

海外セレブウォッチャーという肩書きを名乗っているのに何ですが、アカデミー賞ノミネートという以外の事前情報一切ナシ。エマ・ストーンが出ていることくらいしか知らずに行ったので、実はあまり期待していなかったのです。「英国王室モノってことだから、ドレスが綺麗で豪華絢爛な『マリー・アントワネット』みたいな感じかな〜」、という、ふんわりしたイメージで行ってしまいました。

映画『女王陛下のお気に入り』エマV.S.レイチェルの美しき女の仁義なき戦い_img0
写真:Everett Collection/アフロ

―そしたらこれが、上映開始1分後からすでにもう映画の世界観にぐっと引き込まれ、あとは女同士の権力と寵愛のえげつない奪い合いから目が離せず、最後の瞬間まで息もつけないほどの面白さ…!

mi-mollet読者の皆様ならきっと好きなはず、と勝手な想いから、全力で今季のおすすめ映画としてご紹介させていただこうと思った次第であります。

この作品、まず予備知識としては、18世紀初頭の英国王室で、病気がちなアン女王をオリヴィア・コールマンが、その幼馴染で女王の寵愛を一身に受け政治までをも影で操るレディ・サラをレイチェル・ワイズが、貴族から召使いに身をやつしたアビゲイルをエマ・ストーンがそれぞれ演じ、その3人ともがアカデミー賞で主演女優賞や助演女優賞などにノミネートされています。

 

恥ずかしながらその辺りの知識も何もなく観に行ってしまったのですが、観ているうちに「絶対3人ともオスカー取るでしょ、こんな演技!!」と思うくらいに女優たちの演技が素晴らしく、それもあってグイグイとストーリーに引き込まれてしまうのです。スクリーンでの、名女優たちの演技のぶつかり合い。いや〜、イイもん見させてもらいました!!

ストーリーを非常にざっくりとまとめるならば、英国貴族の邸宅を舞台にした『ダウントン・アビー』での貴族とその奉公人たちの陰謀渦巻くやりとりを、もっとスケールを大きくして、主要人物は全員女性にした感じ、とでも言いましょうか。

以下にmi-mollet世代的に響くであろう、見どころをまとめてみました。
 

見どころ1.サンディ・パウエルによる素晴らしい衣装デザイン


『恋に落ちたシェイクスピア』や『アビエイター』などでアカデミー賞衣装デザイン賞を過去に3度も獲得している大御所サンディが手がけた衣装は、映画の世界観を作り上げている大きな要素となっています。

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写真:Everett Collection/アフロ

というよりもはや、この映画の3分の1くらいは、この衣装デザインを観るためだけでも価値がある、と言ってもいいほど。時代考証完全無視でこの時代には存在しなかったであろうデニム素材などが用いられているのですが、エマやレイチェルの白く透き通るような肌と女らしいデコルテを引き立てるドレスの数々は、見ていてうっとり♡ 最近カジュアルな服しか着ていなかった私も、「たまにはこんなクラシカルでロマンティックなテイストのファッションが着たい!」と思うほど素敵でした〜!

ちなみに私のお気に入りは、エマ演じるアビゲイルが召使いとして雇われた頃に着ていたメイド服。白いフリルをあしらったデニム素材のメイド用ドレスがすごぉく可愛くて、こんなドレスが着られるなら奉公人も悪くないかも…と思いながら観ておりました。
 

見どころ2.レイチェル・ワイズの大人の色気がすごい


エマ・ストーンの若さ溢れるピチピチした可愛らしさもいいのですが、正直、レイチェルのしっとりした、インテリジェンスを感じさせる熟女の色気の前には完全敗北としか言いようがない。―それくらいにレイチェルが素敵! 

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写真:Collection Christophel/アフロ

もちろん演出やら衣装やらの効果はあるでしょうが、さすが、我らがジェイムズ・ボンドこと、ダニエル・クレイグ様を元婚約者から略奪婚しただけのことはある…。しかも今調べたら48歳。え、48さぁあああああああい!????????? って、Wikipediaを二度見しましたよ、私は!!

ぜいぜい42歳くらいかと思っていたら、とっくのとうにアラフィフだったのですね。日本の女優で私がなりたいと憧れる理想のアラフィフ女性は鈴木京香さん(50歳)だったのですが、ハリウッド(レイチェルはイギリス出身ですが)にもこんなしっとり系美女がいたなんて。今日からはレイチェルをアラフィフ希望の星としてあがめようと思います。―シワもシミもないすべすべのなめらかな肌だけど、ハリウッド的な人工的アンチエイジング感もないし、一体彼女の美容法はどうなっているんだろう。

しかも、白状してしまうと、彼女が出ていることすら知らずに行ったのと、『ナイロビの蜂』以来の動いているレイチェルだったために、「この演技がものすごい美人は誰なんだろう。レイチェル・ワイズっぽいけどこんな大人っぽかったっけ…」と。最後のエンドロールを観るまで確信が持てずにおりました(恥)。

―ハイ、完全に映画の紹介から脱線してレイチェル礼賛になりましたが、続きます。
 

見どころ3.豪華絢爛な貴族の優雅な生活ぶり♡

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写真:Everett Collection/アフロ

これはもう、『ダウントン・アビー』好きにはたまらない世界観です。アン女王が住む宮殿のインテリアや贅を尽くした食事の様子や、乗馬に狩りと、上流階級の人々の生活ぶりにこれまたうっとり♡ 宮殿内の内装も本当によく作られていて、どこをどう切り取っても絵になってしまう。その中で美しいコスチュームを着たエマやレイチェルが動いているのだから、眼福ここに極まれり、といった感じ。120分間の非・日常的なゴージャスな世界の中にどっぷり浸かって現実逃避するのにうってつけな作品です。
 

見どころ4.女同士のえげつない争いから目が離せない


肝心のストーリーが最後になってしまいましたが、もちろんストーリーも本当に面白いんです! 王室の権力争いなんていうよくある平凡なテーマが、国の行方を握っているのが女性のみ、という設定にしたことで、男性同士よりも陰湿で壮絶で、シビアな争いが繰り広げられる展開に。

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写真:Splash/アフロ

アン女王の寵愛を巡ってのアビゲイル(エマ)とレディ・サラ(レイチェル)の牽制と小競り合いと駆け引き。これが、彼女たちの演技力の高さも相まって、本当に最後まで気が抜けない緊張感!

手段を選ばず攻撃に出るふたりが怖くなる一方で、「女性って子供を守る性(さが)だから、いざ生活のためとなったら男性よりも容赦無く敵を叩きのめして引きずり落としてでも生き残ろうとする、冷酷になれる本能を誰しも持っているんだよなあ」と。

とにかく、最後の瞬間までどうなるかわからないふたりの権力争いは見応えアリ。
 

突然のお知らせになりますが、2月26日(火)20時から、mi-molletのインスタライブでアカデミー賞のレッドカーペットのベストドレッサーについて大森編集長と語り合う予定でおります。 『女王陛下のお気に入り』が果たして何冠となるか、乞うご期待!