家族というのは、世界の中で唯一、自分のことを無条件で信じてくれる存在であり、多少、言葉が足りなかったり、言い方を間違えたとしても、最終的には分かり合える存在です。こうした現実を考えると、家族をうまく説得できない人が、転職や独立、起業でうまくやっていけるとは思えません。そうであるならば、妻は夫のキャリア・チェンジについて、とりあえず反対して様子を見るのがベストです。

特に転職希望者にその傾向が顕著ですが、本当はキャリア・アップが目的ではなく、単に現状を変えたいだけなのかもしれません。夫がなぜ会社を辞めたいのか、うまく整理、誘導してあげれば、本当は何を望んでいるのかはっきりしてくるはずです。それでも転職を強く望むということであれば、少し前向きに話を聞いてあげてもよいでしょう。

独立、起業の場合、現実は過酷ですから、反対のハードルは高く設定してもまったく問題ありません。ここでくじけてしまうようなら、やはり元の会社にいた方が、家族全員にとってメリットが大きいはずです。逆に、どんなに反対理由を並べても夫がうまく説得してくるようなら、これは実業家として勝算アリですから、スタンスを変えて肩を押してあげればよいと思います。

起業したい夫への「嫁ブロック」はどんどんやった方がよい理由_img0
 

筆者はサラリーマンを経て起業したという経緯があるので、一時期、多くの知人(サラリーマン)が独立、起業について相談にやってきましたが、全員が全員ではないものの、嫁ブロックに遭う人にはある共通項がありました。それは夫婦のコミュニケーションが普段から活発ではないということです。

当たり前の話ですが、普段から会話が少ないところに、いきなり転職や独立、起業の話を持ち出されても困惑するだけでしょう。一方、お金の話やキャリアの話を普段から交わしているのであれば、妻の側も、夫が何を考えているのかおおよそ理解できているはずです。最終的な賛成、反対はともかく、大きな断絶は生じないと思われます。

価値観は人それぞれかもしれませんが、真剣にキャリア・アップを考えており、「仮に失敗しても君と子どもを路頭に迷わすことは絶対にしない。どんな状況になっても君たちの生活は守る」と誓う夫に対して、全力で反対する妻が多いとはあまり思えません。

おそらくですが、この一言が言えない夫が多く、それが嫁ブロックを突破できない最大の理由であると筆者は考えます。そしてこの一言が言えない、ということは、やはり腹が据わっていない証拠ですから、転職、独立には慎重になった方がよいとの結論にならざるを得ません(一方で、簡単に「覚悟」などという言葉を口にする人も問題ですが……)。

この一言があれば「嫁ブロック」の突破はそれほど難しくないと、男性である筆者は考えているのですが、女性の皆さん、いかがでしょうか?

 
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