さて3月もすでに後半。
日本では4月は新しい年度の始まり、仕事や学校のために新しい場所で生活をスタートされる方も多いことでしょう。
そこで、引っ越し人生ともいえる私の、新しい場所で生活を始めるコツを考えてみたいと思います。
子供が小さい頃は、新しい土地や国で生活を始めるのは難しいこともありますが、
学校が基本となるので、それなりに早くコミュニティーに入れます。
その際は、いわゆるママ仲間になるので(それについては前回でもお話ししましたが)、子供たちのための学校や放課後の情報、生活の情報などを得るために、学校のボランティアなどに積極的に参加するべきです。
外国に行き語学が苦手という方は、とくに母親が新しい環境にいち早く溶け込むことが(子供が小さい場合ならなおさら)、必要なことです。
自分が溶け込めないのに子供に早くその環境に馴染めというのは無理なこと。まず母親が手本となるように、最初の日に子供を学校に送って行った日には、何か自分がお手伝いできることがないか、担当の先生もしくはスクールヘッドマスターに聞いてみてください。
例えば、日本人の母親ならば、アートのクラスで折り紙を教えるのがいいのでは?
語学が苦手という人に私からのアドバイス。それは、「何もあなたが大学の英文学の教授になるわけでもないのですから、“あなたが私の言語を話せないから、私があなたにわかるようにあなたの言葉でなるべく話してあげる”と思えばいい」。
ほとんどのヨーロッパの人は「英語しか話せない可哀想なアメリカ人」と思っています。ましてお互い英語が母国語でない人もたくさんいますし、言葉を間違えても当たり前。
その間違いを自分の笑い話にするくらい心の余裕を持っていれば、いつの間にか慣れて、簡単にコミュニケーションが取れるようになります。
一方、仕事で新しい場所に行く場合は、会社がコミュニティーの中心になります。私は日本の企業のことはよく知りませんが、アメリカやヨーロッパの企業の場合は、会社が転勤してくる家族のために、かなりのアシストをしてくれます。
ただ、そこで子供がいない主婦や、子供が巣立った後などは、毎日何をすればいいか悩むようです。
私の周りの友人は、新しい国に行くと一番最初にゴルフやテニスなどのできるカントリークラブに入って、スポーツを通じて知り合いを作ることが多いようです。
もしくは病院などに行ってボランティアを探す人もいます。
あとは、パリなどでは美術館巡りのグループ、料理教室などをインターネットで探すことです。
私のように自分自身が海外転勤族の場合は、反対に会社の仕事が忙しく、他のことをするような余裕のない毎日でした。それでも出張のない週末などは、仕事を通じた知り合い、その中で気に入った人達や友達が紹介してくれた人などを、積極的に自宅に招いて、ディナーをともにしていました。
そのうちに友達の友達の輪ができていきます。
しかし、これがロンドンやニューヨーク、シンガポール、北京などの都会の場合には簡単でしたが、私が4年間暮らしたカリフォルニア州のニューポートビーチなどというと、話はだいぶ違ってきました。
最初は主人の仕事関係、私の仕事関係、または友達に紹介されて行ったチャリティーイベントなどで会う人……、全く興味も持てない、趣味も一致しない。
本当に「こんな人がいるのか」と思うような人ばかりの中で、私の決断は、「別にこの土地にずっといるわけでもないのだし、無理に友達を作必要もない」ということでした。
幸いなことに、古くからの友達がいるロサンジェルスまで車で1時間ですから、いつでも友達に会いたければ、車で行けばいいのです。
もしあなたがもっと辺鄙なところにいても、今ならインターネットがあるので、友達との会話や、情報には事欠かないはず。
その代わり、自分のための時間、例えばスポーツ、料理……こんなに自分のために時間を使ったことはない4年間でした。もちろん睡眠もそれまでは6時間眠れたら十分と思っていたのに、夜の9時半にはベッドに入っているような毎日でした。
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