作家、ジョナサン・サフラン・フォアのベストセラーノンフィクション「イーティング・アニマル アメリカ工場式畜産の難題(ジレンマ)」をもとに作られたドキュメンタリー映画をご存知ですか?
クリストファー・ディロン・クィンが監督し、女優のナタリー・ポートマンがプロデュース、ナレーターも務めています。

この映画を観て、今私達が食べているもの、特に動物性タンパク質について改めて考えさせられます。
私は子供の頃は肉嫌い、20代はべジタリアン、今は牛肉、豚肉、ラムなどの肉類を1ヶ月に数回ほど食べるだけです。それも80年代からは、オーガニックのものしか買わないようにしています。
鶏肉に関しては、私にとって最も深刻です。

私は数種類の抗生剤に対してアレルギーがあります。
40歳のとき、抗生剤の入った点滴を受けている最中にアレルギー反応を起こしました。
その数年後、抗生剤を飲んだ後に、手足が熊の手のように膨らみ、その後熱とかゆみが出てきて、最後には手の皮がすべて剥けるというひどい症状が起こりました。
その後は一切、抗生剤は避けていますが、10年前に起こった恐ろしい出来事があります。

その日はパリの会社でデスクワーク。仕事をしながらコンピューターの前でランチを食べる予定でした。アシスタントに「ランチを買って来てほしい」とリクエストしてありました。
もう数年間、私のアシスタントをしている彼女は私の食べたいものをよく把握していました。その日に彼女が買って来たのは、会社の裏にあるMr.Kimのチキンボールライスでした。
そしてそれを食べ始めてすぐに、喉がしまっていく感覚に襲われたのです。

慌てふためいて自分のオフィスを出ると、お昼時で私の部署には誰一人いません。すぐ隣のCEOのオフィスにいたCEOのアシスタントのところに行くと、機転の利く彼女は私の顔と仕草を見て、すぐに会社の隣にある薬局に飛んでいき、コーテザンの錠剤を 私の口に流し込んでくれました。そのおかげで私は一命を取り留めたのです。

多分、この鶏肉 に抗生剤が含まれていたことが原因です。
その後は余程信頼できるレストラン以外では、絶対に鶏肉料理は口にしません。
鶏肉を買うときも、オーガニックで定評のあるお店のものしか買いません。

このドキュメンタリー映画を見ていると、本当の怖さは「私たちが、何を口にしているか」ということはもちろんのこと、それによって「いかに環境を滅ぼしているか」ということです。

映画に出てくるRick Doveは、ノース・キャロライナの湖がある町に育ち、その湖で泳いだり、何世代も釣りを楽しんできました。90年代前半 からその湖で、大量の魚が死んだり、釣った魚が変形していたり、おまけに自身の体にも発疹が出てきました。
湖の水に不信感を覚え、調べるために小型セスナで湖に流れてくる川をたどっていくことにしたのです。そしてそこで見つけたのは大きな会社経営のが経営する多くの養鶏場です。その横には必ず大きなピンク色をした汚水をためてある池があるのです。
それから彼はウォーターキーパーというNPOを始めました。

Graig Wattsは22年もの間、全米でも一番大きな養鶏の会社との契約に縛られていました。もう自分の足では立てなくなった鶏、羽のきちんと生えてこなくなった鶏、このような鶏がたくさんいる地獄のような 光景に、いくら家族の生計のためとはいえ耐えられなくなったことから、このサイトにある行動を始めました。

 

ちなみに、アメリカで一番簡単にグリーンカードが得られるのは、このような会社の養鶏場もしくは、処理場で2年働くことだそうです。
その匂いと光景はこの世のものとは思えないそう。

一方でFrank Reeseのように、農家に育ち子供の頃からの鶏好きがゆえに伝統種の鶏の正当な育成に力を注いできた人もいます。有名なシェフたちからもオーダーが入るようになりました。
今では彼のような人材の育成も兼ねた、エコロジカルで環境にも配慮した、プロフィタブルな小さな農家の継続を目的にしている学校を作る(こちらのサイト)など、素晴らしい人もいるのです。

 

私もアメリカにいたときは、メールで彼のターキーをサンクスギビングのために数ヶ月前からオーダーしていました。
彼のような、自分の作るものに誇りとパッションを持った農家がもっとたくさん現れて、その価値を理解できる消費者が出てくればいいのです。

アメリカでは統計で40%の食物が食べられずに捨てられ、その金額は165ビリオンドル(約20兆円)にも及ぶそうです。
スーパーなどで買われた食品がそのままゴミ箱にいくケース、スーパーマーケットなどの売れ残り、期限切れなどの食品が捨てられるケース、レストランなどの食べ残し。
大量に悪いものを生産者は作って、販売者はそれを安く売って、そして消費者は捨てる。そしてその行為が 、私たちの健康を壊し、また地球の環境を破壊しているのです。

良いものを必要な量だけ、買う、食べるという基本的な観念が、今の私たちには最も必要なことです。ダイエットという言葉もそれで必要なくなります。
ちなみに私の住むポルトガルのこの地域では、牛一頭に対して放牧をする面積が決められていて、その広さは桁違い。アランテジョの牛は「ハッピーカウ」と呼ばれています。

私の友達
私の家の前のひつじはオリーブの木の下で育っています。  
私の家の近所の農家はまだこんな感じで野菜を作っている。それを毎週土曜日の朝の市場で買って食べれるのは究極の贅沢。