ファッションのことだったらスタイリストさんに着こなしのコツを聞きたい。お金まわりのことだって、また同じ。というわけで、金融機関で働いている「お金のプロ」の女性たちに、「プライベートではお金とどう付き合っているの?」とインタビュー。ファイナンシャルプランナー・コラムニストの西山美紀さんと、編集部員の片岡(お金の初心者)が赤裸々に聞いてみました。

<今回お話を伺ったのは……>

 

佐野クミさん(仮名・35歳)
仕事:ベンチャー系金融機関勤務
家族構成:夫(30代)・子ども2人(2歳、5歳) 
世帯年収:約1200万円
お金の状況:基本的に貯金。賃貸物件の家賃収入。貯蓄タイプの保険はごく一部。


今、流行のロボアドバイザーで運用も
 

西山
クミさんは、ベンチャー系の金融機関にお勤めですね。何度か転職されたそうですが、ずっと金融系だったのですか?

 

クミさん
はい、新卒で地方の証券会社に入り、個人のお客様向けに資産運用のご提案をしていました。さまざまな金融商品を扱っていましたが、毎月新しいファンド(投資信託のこと)が出るので、それをメインで売るんです。

西山
十数年前は……投資信託の手数料が結構高かった時代ですよね。

 

クミさん
はい、今は信託報酬(=持っている間、ずっとかかるコスト)が1%を切るものも多いですが、当時は1.7%というものもたくさんあって。さらに、販売手数料(買うときにかかるコスト)が3%かかるものも多くありました。

なので、相場が下がって資産が減ると、なかなか投資した金額がとり戻せない。自分でも勉強しようと、4種類ほどの投信を50万円ずつ買ったのですが、手数料が高いからなかなか増えないし、リーマンショックでものすごく下がりました。数年たってようやく戻って、プラス10万円くらいになったときに、全部売っちゃいました。

西山
その後、結婚されたんですね。

 

クミさん
はい、結婚後にベンチャー系金融会社と証券会社を経て、今の会社に1年前に転職しました。途中子どもを2人出産して、今35歳です。

西山
投信は、その後は買いましたか?

 

クミさん
私は買っていないですね。あ、フィンテック会社のウェルスナビというところで、20万円ほど買っています。自分で投信を選ぶのは面倒だな……と思っていたところ、自分の投資経験や目的などに応じて選べるサービスがあると聞いて。

西山
「ロボアドバイザー」ですね。私も勉強もかねて、ロボアドバイザーのウェルスナビTHEOを試しています。

片岡
「ロボアドバイザー」?

西山
年齢や投資経験などを入力すると、金融工学の研究をもとにそれぞれに合った国内外の株式や債券など幅広い銘柄を決めてくれて、分散投資が手軽にできるサービスです。購入やリバランス(最適割合に再調整すること)なども自動的に行ってくれます。

ウェルスナビの場合は、資産などの質問に答えていくと、「リスク許容度(どれくらいのリスクに耐えられるか)」が5段階で診断できるんですよね。

※債券とは、いわば借用証書のようなもので、国や地方自治体、企業などが、利子をつけて返すと約束したうえで、個人からお金を借りるもの。(西山)

 

クミさん
私は一番投資に積極的な「5」と出ました(笑)。世界中に投資を分散できて、それを残高の1%という手数料で行ってくれるのが安いなあと感じて。以前の会社で、とにかく高い投資信託を仕事で売ってきたことを考えると……。

西山
最近は信託報酬がかなり安い投資信託も出てきていますが、そういうものは今後選択肢としてありますか?

 

クミさん
今は子育てや仕事が忙しくて、調べたりするのも面倒だと思うので、新しく投信は買おうと思わないですね。手間がかからないウェルスナビの資産を少しずつ増やそうかなと思っています。

あと、投資といえば…我が家はちょっと変わっていて、「賃貸併用住宅」なんです。

片岡
賃貸併用住宅? それは何ですか?

西山
いわば「大家さん」ですよね。家に住みながら、アパート経営をするという……。 

 
 

クミさん
そうです! 我が家は4階建てで、下の1階部分の2部屋を賃貸に出しています。夫婦で7000万円ほどのペアローンを組みました。

西山
賃貸併用住宅に住んでいる方には、なかなかお会いしたことがないです!

 

クミさん
はい、30代では珍しいかもしれません(笑)。30歳で夫婦で家を建てようと思ったときに、不動産好きな夫が、以前から賃貸併用住宅に興味があって「やってみよう」と言ったんです。インベストオンラインという賃貸併用住宅のコンサルティング会社にお世話になったのですが、綿密な計算とシミュレーションを繰り返しました。

西山
初めて家を建てて、賃貸併用住宅……かなり思い切りがいったのでは?

 

クミさん
以前勤めた会社で、事業計画をサポートする仕事をしたのでファイナンスの知識が少しあり、多少見通しが立ちました。厳しめに考えて、入居者がいなくて空室率が6割程度になっても大丈夫か、資金計画をしっかり立てました。最悪のケースで、土地の価格で売ればいいか、ということまで考えて……。

西山
経営者になるわけですもんね。家族から驚かれませんでしたか?

 

クミさん
そう思って……「もう買っちゃったよ」と融資も決済もすべて終わってから、お互いの親に報告しました。もはや反対の余地なし(笑)。1000万円くらい貯めて、500万円を頭金にしました。住宅が値上がりする前だったので、お買い得だったと思います。

片岡
とはいえ、30歳夫婦が7000万円のローン!

 

クミさん
ローン返済は月24万円なのですが、賃貸の収入が入るので、実質9万円程度の出費なんです。住居費が安く済む分、毎月お給料から貯蓄に回せるのは助かっています。

片岡
つまり15万円の家賃収入があるので、ローンが月9万ですむんですね。お得!