「作りおきは必要ない! 料理は3品で十分です」
最近、ホームパーティが人気ですが、いざその日にちが近づいてくると憂鬱になるという人は少なくないかもしれません。メニューに迷ったり、作りすぎてお金がかかりすぎてしまったり、気がかりは多いものです。
料理研究家の城川朝さんはアメリカ在住経験が長く、100回以上自宅に人を招いたという、おもてなしの達人です。「お料理は無理をせず、3品だけで十分」と言いきります。ホストもゲストも気負わず「あつまり」を楽しむ秘訣を、著書『ラクしておいしい あつまりごはん』(講談社)から紹介していただきます。
当日朝に買い物して、 2時間でラクラク完成
前日の準備は、どんなメンバーか考えてメニューを決めることだけ。数あるレシピの中から、味や食感のバランスがよくおもてなし向きの主菜1品+副菜2品の3品献立を厳選しました!
買い出しは当日の朝からでOK。すべての食材が鮮度抜群だから、シンプルなサラダだって最高においしく作れます! 副菜を作る合間に主菜を仕込んで……とあわてがちな「同時進行」もありません。練習や作りおきの必要もない簡単な料理ばかりですが、味や食感のバランスが絶妙なので、間違いなくゲストの心に響きます。
「あつまりごはん」を成功させる4つの極意
① 料理は自分が作れそうなものを
作り慣れていないものは失敗しがちなので、作ったことのある料理に近いメニューを選べば、人と会話する余裕が生まれます。
② 品数多めより、1品の量を多めに
余ったら翌日食べればいいだけです。アメリカでは“left over”と言って、ごちそうの残りを食べるのも家族のお楽しみなんだとか。
③ 市販品を上手に活用する
手作りでは、味を調えるのが難しい料理もあります。そんなときはドレッシングやレトルト食材で、料理をランクアップさせて!
④ 大げさなしつらえはしない
清潔な空間なら、食器やカトラリーもいつもと同じで大丈夫。余裕があれば、玄関やトイレなどに季節の花を飾ってみましょう。
お年寄りには、 普通の和食がテッパン
親など年配者が多い日は、【ほっとする味】がキーワード。凝った高級な料理より、いつもの食材を使った和食が一番喜ばれます。でもあっさりした味ばかりでは、いくらなんでも物足りません。1品は肉をがっつり食べられるなどボリュームを出すと、満足感が違います。それでは、シニア向けに簡単に作れる3品メニューを紹介します。
切り身で作る絶品鯛めしメニュー
鯛めしは、骨つきの切り身からいいダシが出ます。歯ざわりのよい大根とじゃこのサラダに、汁もの代わりの治部煮を合わせて。
主菜
・鯛めし
副菜
・大根とじゃこのサラダ
・鶏の治部煮風
大根とじゃこのサラダ
具材は大根とじゃこだけ。じゃこの水分をレンジで飛ばして油で炒め、カリカリにするのが美味しさのコツ。
材料(4人分)
大根 15㎝
ちりめんじゃこ 40g
ドレッシング
|しょうゆ 大さじ1
|酢 大さじ1
|砂糖 小さじ1
|サラダ油 大さじ2
サラダ油 小さじ2
作り方
1.大根は5㎝長さに切り、スライサーで細切りにする。
2.耐熱皿にちりめんじゃこを広げ、ラップなしで電子レンジに1分30秒かける。フライパンにサラダ油を熱してちりめんじゃこを入れ、カリカリになるまで炒める。
3.ドレッシングのサラダ油以外の材料を混ぜ合わせ、最後にサラダ油を加えてよく混ぜる。
4.器に大根を盛り、ちりめんじゃこを散らし、食べるときに3をかけ、混ぜて食べる。
鶏の治部煮風
治部煮は、鶏肉に片栗粉をまぶして煮る金沢の伝統料理。軽くとろみがついた煮汁も美味しく、汁もの代わりにご飯が進みます。
材料(4人分)
鶏もも肉 1枚(230g)
小松菜 1わ
生しいたけ 5~6個
A
|だし汁 21/2カップ
|しょうゆ 大さじ4
|みりん 大さじ4
|砂糖 小さじ1
片栗粉 適量
作り方
1.小松菜は4cm長さに切り、しいたけは石づきを除く。
2.鶏肉は1㎝厚さのそぎ切りにし、片栗粉を軽くまぶす。
3.鍋にAを入れて煮立て、しいたけを加えて2~3分煮る。鶏肉を加えて色が変わったら、小松菜を加えてさっと煮る。
鯛めし
淡路島で出会ってやみつきになった、にんじん入りの鯛めし。にんじんは大きく切って散らすと、存在感があり彩りも華やかに。
材料(作りやすい量)
米 3合(540ml)
鯛(骨つきの切り身) 3切れ
にんじん 1本
しょうが 1かけ
A
|だし汁 560ml
|酒 大さじ2
|しょうゆ 大さじ11/2
|塩 小さじ2/3
三つ葉 適量
作り方
1.米は研いでざるに上げ、30分ほどおく。
2.にんじんは1cm角に切り、しょうがは細切りにする。三つ葉はざく切りにする。
3.鯛に塩少々(分量外)をふり、魚焼きグリルで皮にきれいな焼き色がつくまで焼く。
4.土鍋に米と混ぜたAを入れ、鯛を並べる(a)。周囲ににんじんを並べ、しょうがを散らす(b)。火にかけ、蒸気が上がったら、弱火にして15分炊く。炊き上がる1分前に強火にし、火を止めて5~10分蒸らす。
5.食べるときに鯛を取り出し、骨を除く。身を粗くほぐして土鍋に戻し、三つ葉を散らし、さっくりと混ぜる。
『ラクしておいしい あつまりごはん』
著者 城川 朝 講談社 1300円(税別)
家族や友だちとのホームパーティで、何を作るか悩んだことありませんか? 「レパートリーが少なくて、人をもてなす自信がない」というあなたに朗報!! 当日朝に買い物して、たった3品でゲストに喜ばれる最高のメニューを教えます。
同時進行せずに1品ずつ仕上げるタイムスケジュール付きだから、料理が苦手な人でも、1~2時間でおもてなし料理を3品作れます。
また「女友だち同士」「男性が多い日」「シニアを招く日」「子どもが多い日」など、シチュエーションごとにメニューがあるので、組み合わせを迷いません!
著者の城川さんがオススメするのは、「主菜1品+副菜2品の3品メニュー」。親しい人たちと楽しむ料理はいつもの延長で作れるから、「おもてなし」ではなく、「あつまりごはん」と名づけました。「1品ずつ仕上げればあわてない」「自分が作れそうな料理でOK」「品数でなく1品を多めに」など、気楽なホームパーティのコツが分かります。
『ラクしておいしい あつまりごはん』のほか、料理、美容・健康、ファッション情報など講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。
講談社くらしの本はこちら>>
(この記事は2019年5月16日時点の情報です)
城川 朝
外資系航空会社のキャビンアテンダントを経て、結婚。10年以上にも及ぶアメリカ生活で、大好きな料理を本格的に学ぶ。現地ではスクールの講師として教えるまでに研鑽を積み、のべ100回以上ホームパーティをこなした経験を持つ。帰国後、西荻窪で料理教室を主宰。テレビや雑誌で活躍してきたが、現在はキッチンツール開発と著書の製作を主としている。40代となった2人の娘たちは、共働きのあわただしい生活の中でも友人たちを招き、ともに過ごす時間を大切にしている。忙しい人が、もっと気楽にリーズナブルに、みんなと楽しめるレシピとアイディアを伝えたいと、この企画がスタートした。著書に『忙しい人の家族ごはん』『夫婦ふたりのシニアごはん』(ともに講談社)、『もっと野菜が食べたいから まずはゆでる!』(NHK出版)などがある。