こうした「理想の人生」を考えた結果、キャリアチェンジした女性にBさんがいます。彼女は大手IT企業で管理職をしていたのですが、「やりがいのある仕事」と「ワークライフバランスの充実」を求めて2年ほど前に転職しました。

在職中は管理職ですからなかなか定時で帰ることができず、19時~20時ごろまでの残業は日常茶飯事だったと言います。片道1時間の通勤時間で、自宅へ戻ると20時~21時になります。3歳になる子どもの寝かしつけはシッターさんや家族にやってもらっていたのですが、ある日ふと「これでいいのだろうか?」と思ったそうです。

 

彼女の理想の人生の一つに「子どもとの時間を大事にすること」がありました。自分にとっての理想の人生って何だろう? とつきつめた結果、「毎晩子どもと夕食を食べたい」と思ったそう。「夕食を一緒に食べたい…え?それが理想なの?」と思った方がいるかもしれません。けれども3歳の息子はその時しかいなくて、そんな息子と過ごす時間はまさにプライスレスです。

誰もが知っている大手企業の管理職を手放すことは平成の価値観では「もったいない」決断だったかもしれないけれど、彼女はその理想を大事にして、ビジョンに共感したベンチャー企業へ転職。現在は彼女の仕事経験を尊重し、短時間勤務で受け入れてくれた職場で、「やりがいのある仕事」と「子どもと毎日夕食を取れる生活」を両立させています。今の働き方はとても幸せだといいます。

私たちは就職活動のとき、ものすごい時間を投じて必死に「自己分析」しましたよね? あれは就職活動のときだけのものではなく、年齢を重ねても、それこそ40代、50代になっても常にやり続けていくべきと感じます。

そうしないと忙しい毎日の中で、自分が何のために働いているのか見失ってしまうからです。そうすると、漠然とした不安や焦り、モヤモヤに絡めとられていってしまう。それって本質的じゃないし、何より時間がもったいない。

私が本当にやりたかったことって何だろう?
理想の人生って何だろう?

ときには前提条件抜きに考えてみる時間を持ってみてはどうでしょうか。

 
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