高齢化の進展に伴って介護の問題が切実になっています。日本の介護制度は個人完結型にはなっておらず、家族が面倒をみることをある程度、前提にしています。制度としては少々、中途半端なのですが、基本的にこの制度を活用するよりほかに選択肢はありません。突然の介護によってピンチに陥らないよう、制度の内容について事前に理解しておくことが重要でしょう。
日本の介護制度は、在宅介護を基本としており、これを実施できない人だけが介護施設に入るという仕組みです。在宅介護の場合、状況によって差があるものの、何らかの形で家族が関わらないと介護はできませんから、家族による支援をある程度、前提にしているということになります。
近年、高齢化が進んでいることから、様々な介護施設が登場していますが、寝たきりの状態となり、最終的な寿命をまっとうする段階までケアしてもらえる施設は、事実上、特別養護老人ホーム(特養)しかありません。一部の有料老人ホームでは、こうしたケアを受けることは可能ですが、高額の料金がかかることから、中間層以下の人が入所するのは難しいでしょう。
ところが介護における最後の砦である特養の数は少なく、入所には厳しい条件が設定されています。以前は要介護1でも入所できたのですが、希望者が殺到したことから条件が変わり、2015年からは原則として要介護3以上の人しか入れない仕組みとなりました(特例措置あり)。
要介護3ということになると、立ち上がることや歩くことなど、身の回りのことがほとんど自力でできない状態であり、排泄、食事、入浴など、すべてにおいて介助が必要です。人によって状況は異なりますが、一般的な感覚では、家族だけで介護するのはかなり難しいレベルです。言い換えれば、この段階になるまでは、何とか在宅で介護を続けなければなりません。
ここで問題となるのが、誰が要介護者の面倒を見るのかという話です。
かつての日本では専業主婦世帯も多かったことから、妻が親の面倒を見るというケースがよく見られました。しかし社会の状況は大きく変わっています。
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