年収1000万円の人は平均的な年収の人よりも睡眠時間が短いという調査結果が話題になっています。高収入を得るためには睡眠時間を削らなければいけないのでしょうか。

人材大手のパーソルキャリアが、一都三県に住むビジネスパーソンを対象に調査を行ったところ、年収が1000万円の人(年収が1000万円~1100万円未満)の28.9%が5時間以下の睡眠時間でした。平均年収層(400万~500万円未満)で5時間以下だったのは23.5%ですから約5ポイントの差があります。

1000万円プレイヤーは朝が早いという傾向も顕著で、5時に起床するという人が21.9%もいます(平均年収層は10.4%)。睡眠時間は短めで、朝早く起きて時間を有効活用するというのが1000万円プレイヤーの特長といえそうです。しかしながら、1000万円プレイヤーの43.5%は6時間睡眠、23.9%は7時間睡眠ですから、すべての1000万プレイヤーが短時間睡眠なわけではありません。

別の調査でも似たような結果が出ています。総務省の社会生活基本調査によると年収1000万円~1500万円未満の睡眠時間は、年収400万円から500万円未満と比較して4.6%少なくなっています。全体的に年収が上がるほど睡眠時間は短いという傾向が見られますから、年収が高い人があまり「寝ていない」というのはある程度、正しいと思ってよいでしょう。

もっとも同じ年収1000万円といっても職種によって状況は大きく違っているはずです。先ほどの社会生活基本調査では会社役員(年収区分なし)の睡眠時間はかなり多くなっていますから、マネジメントが主な仕事という人は高収入でかつ長時間睡眠が実現できている可能性があります。一方、専門職的な人は、年収も高いですが、労働時間も長いと考えられます。

あまり睡眠時間を削り過ぎると、集中力を欠いたり、最悪の場合には健康を害しますから、可能な限り睡眠を取った方がよいというのは正論でしょう。
近年は働き方改革が叫ばれていますから、労働時間をむやみに長くすべきではありませんし、筆者自身、長時間労働は是正すべきであると常々主張しています。しかしながら、長い人生におけるキャリア形成を考えた場合、ある時期はガムシャラに仕事をすることも必要との考え方には一理あると思っています。

 
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